少女は入浴を終えたばかりの体から自然な香りを漂わせ、柔らかく甘い唇は綿菓子のように魅惑的だった……
男の周りの恐ろしい気配は一瞬にして消え去り、最も脆弱で無防備な首筋に少女が口づけるのを素直に受け入れた。
庄司輝弥の周りの気配が明らかに変化したのを感じ取り、雨宮由衣の高鳴る心臓はようやく少し落ち着いた。
こうなれば、先ほど玄関に走って行ったのは逃げ出すためではなく、ただドアに鍵をかけて彼と親密になるためだったということになる。これなら彼も怒らないだろう?
「あなた、どうしてここに?」雨宮由衣は精一杯嬉しそうな声を装った。
庄司輝弥は静かに彼女を見つめ、何も言わなかった。氷のような瞳は人の魂を見通すかのようだった。
雨宮由衣は少し心虚になった。自分の小細工を見抜かれたのだろうか?
しばらくして、男の薄い唇が開いた。「お前を追いかける者が……銀河系まで並んでいる?」
雨宮由衣はしばらく考えてから、やっと庄司輝弥が先ほどの歌の歌詞のことを言っているのだと気づいた。
雨宮由衣は一気に青ざめた。「違うの違うの!あれは歌詞だけよ!」
銀河系まで並ぶって……地獄を埋め尽くすくらいならまだしも!
彼女を追いかける勇気のある者が明日の太陽を見られるはずがない。
いや、そもそも彼女を追いかける人なんていない。周りには蝿一匹もいやしない。
「あっ!そうそう!今回のテストでクラス一位だったの!」雨宮由衣は急いで話題を変えた。
庄司輝弥は彼女の耳元の髪を指で優しく弄びながら、「ああ」と応えた。
まるで当然のような口調で、少しの驚きや疑いもない様子だった。まるで彼女がこれを成し遂げることが極めて自然なことであるかのように。
今日経験した数々の疑いの目を思い出し、今の庄司輝弥の反応に、彼女の心には言い表せない感情が湧き上がった。
思いがけないことに、彼女を信じる唯一の人が、庄司輝弥だったなんて。
庄司輝弥は呆然と自分を見つめる雨宮由衣の表情を見て、何かを感じ取ったかのように、長い指で少女の顎を掴み、驚いた彼女の目の前で、軽く唇にキスをした。「よくやった」
雨宮由衣は目を瞬かせ、また瞬かせた。
えっと……
これは褒美をもらったってこと?
いったい自分は何をしたというの?庄司輝弥に褒美やキスをねだっているように思われちゃったの?もう!