第36章 私には彼氏がいるの

くじ引きの結果が出た瞬間、教室は騒然となった。

「雨宮由衣?白雪姫?ふざけんなよ!」

「委員長、何やってんの!何てくじ引いたの?」

委員長は呆れた顔で女子たちの非難に向き合った。「これは...私が引いたわけじゃないよ!」

彼に何の関係があるというの?庄司夏が自分で引いたんだよ。

「ダメよ!庄司夏をこんな奴と組ませるなんて!まるで虎穴に入るようなものじゃない!」

「こんな大事な公演で雨宮由衣なんて、Fクラスの笑い者にされたいの?」

教壇の上で、二宮晴香の顔も完全に曇った。

雨宮由衣!

またしても雨宮由衣か?

でも先ほどクラス全員の前で言ったばかりだ。くじ引きの結果に誰も異議を唱えてはいけないと。今更配役を変えることもできない。

二宮晴香は仕方なく、庄司夏の方を見て尋ねた。「庄司君、あなたの意見は?結局あなたのパートナーだし。」

この時、男子の手にはまだくじが握られていた。自分で引いたくじとは信じられない様子だった。

彼は人生でこんな恐ろしい選択に直面したことがないだろう。

しばらくして、男子は歯を食いしばって二文字を絞り出した。「どうでも。」

自分で引いたくじだ。その場で撤回できるわけがない。

庄司夏の言葉を聞いて、女子たちは全員焦り始め、二宮晴香に再抽選を要求した。

二宮晴香は目を細めて雨宮由衣のだらしない姿を一瞥し、少し考えてから口を開いた。「みんな静かに。さっきも言ったように、公平を期すために必ずくじ引きの結果に従わなければなりません。庄司君も異議がないので、ヒロイン役はこれで決定です。誰も文句は言わせません!」

今は雨宮由衣が問題を起こすことを恐れるのではなく、むしろ問題を起こさないことを恐れている。

そう考えて、二宮晴香は警告するように雨宮由衣を見た。「今回の文化祭の公演は非常に重要よ。もし台無しにしたら、私でもあなたを守れないわ!」

この時になってようやく、雨宮由衣は我に返った。

どうして居眠りしている間に、白雪姫役に選ばれて、全女子の目の敵にされてしまったの?

前世では、あのラブレターのせいで庄司輝弥に連れ戻されたから、こんなことは起きなかった。全く心の準備もできていなかった。

もし知っていたら、死んでもこんなことが起きるのを阻止していたのに!