第47章 彼が笑うのを見たことがない

雨宮由衣のメッセージを見て、庄司夏は喉に血を詰まらせ、窒息しそうになった。

幼い頃から、彼は常に周りから注目を集める存在だった。こんな侮辱を受けたのは初めてだった!

もしこのブスが彼の注意を引きたかったのなら、それは成功したと言えるだろう。

「ふん……みすぼらしい?」

隣からの声を聞いて、雨宮由衣は自分のメッセージが見られていたことに気づいた。しかし、彼女は全く動揺せず、スマホをしまいながら、顔を青ざめさせている学校一のイケメンに笑顔で言った。「気にすることないわよ。あなたもまあまあ可愛い顔してるじゃない。でも、私の彼氏と比べたら、まだまだ全然及ばないけどね!」

「……」庄司夏は当然、彼女の彼氏を呼び出して誰が格好いいか比べようなどという馬鹿げた言葉を口にするはずもなく、深いため息をついて目を閉じ、寝る振りをした。このバカと話を続けていたら、怒りで死んでしまいそうだった。

雨宮由衣は口を尖らせて、ちっ、信じてくれないなんて~

その時、庄司家の屋敷では。

庄司輝弥は定期検査を終えたところだった。

黒川尊の他に、年配の医師がもう一人いて、庄司輝弥の隣には七、八十歳ほどの老婦人が座っていた。

老婦人は白髪まじりの髪で、手に數珠を持ち、今は心配そうな表情で孫を見つめていた。

年配の医師が庄司輝弥の脈を取っており、表情は次第に深刻になっていった。老婦人は医師の表情を見て、さらに暗い顔になった。

しかし庄司輝弥本人は、脈を取り終わった後もソファに座って淡々とお茶を飲んでおり、自分の体調に全く関心がないようだった。

老婦人は焦りの表情で尋ねた。「黒川先生、我孫子先生、正直に答えてください。嘘は一言も言わないでください。九の体の状態は一体どうなっているのですか?」

黒川尊は庄司輝弥の方をちらりと見て、軽く咳払いをしたが、何も言えなかった。

老婦人はそれを見て即座に彼を睨みつけた。「何を彼の方を見ているの!あなたに聞いているのよ!」

黒川尊は言葉を選びながら答えた。「老夫人、相変わらずの状態です。」

老婦人は冷ややかに鼻を鳴らした。「ごまかさないで!昨日は何時間寝たの?一昨日は?その前の日は?全部言いなさい!」