第46章 あなたの1万分の1も格好良くない

朝食を済ませた雨宮由衣は教室へと向かった。

教室の入り口まであと十数歩のところで、雨宮由衣は窓から何人かの頭が覗き見ているのを遠くから見かけた。

彼女を見つけると、それらの頭は驚いたかのように、すっと引っ込んでしまい、教室の中からはざわめきが聞こえてきた。

そして、不気味な静けさが訪れた。

教室の入り口から三歩ほど離れた場所に立ち止まった雨宮由衣は、前に進もうとした足を突然止め、目線をさりげなくドアの上枠へと向けた。

彼女が立ち止まっている間、教室の中は静まり返っていて、まるで全員が何か大きな出来事を待ち構えているかのようだった。

昨日あんな厄介なことに当選してしまったのだから、みんなが何かしてこないはずがない。

雨宮由衣は焦ることなく、そのまま入り口で立ち止まっていた。