「なんだよ!どういうことだ!今日は面白いことが起こると思ったのに!加瀬東がなんで雨宮由衣を助けるんだ?」
「さあ、わからないよ!まるで悪魔に取り憑かれたみたいだ!」
「三上周威に怖気づいたんじゃないか?」
「まさか、あの加瀬東が怖がるなんてありえない!もっと荒れるならわかるけど!」
……
議論の声が飛び交う中、雨宮由衣は加瀬東の椅子に座った。
これからしばらくの間、絶対に嫌がらせを受けるだろうと覚悟していたのに、予想外の展開になった。
加瀬東は本当に三上周威に怖気づいたのか?
それとも……
雨宮由衣は昨夜のことを思い出した。加瀬東が偶然、彼女のすっぴんを見てしまったあの時のことを。
もしかして、それと関係があるのだろうか?
すぐに授業開始のチャイムが鳴り、教室は再び静かになった。雨宮由衣もそれ以上考えるのを止めた。