第87章 学校で男子が雨宮さんを追いかけている

そこで、井上和馬は急いで調べさせた。

しばらくして、調査結果が出た。学校で、ある男子が雨宮由衣に公然と求愛していて、それが学校中の噂になっているという！

井上和馬はもう崩壊寸前だった。雨宮由衣は本当に災難の塊で、恐ろしすぎる！

「学校で誰かが雨宮さんに派手に求愛しているんです。黒川先生、これを九様にお伝えしますか？」井上和馬は泣きそうな顔で尋ねた。

普段でさえ、雨宮由衣が他の男性と一言二言話しただけで九様は怒り出すのに、今や誰かが雨宮由衣に目をつけているなんて。このまま雨宮由衣を外に出しておけるはずがない。もし二人がまた揉めでもしたら……

こんなこと、隠しておきたくても隠せないじゃないか。

黒川尊はその言葉に一瞬戸惑った。「本当か？」

雨宮由衣のあの様子で、まさか恋の話が出てくるとは。

井上和馬は真剣に頷いた。「情報は確かです！しかも相手は清風の大将で、理事長の息子だそうです。かなりのイケメンで女子に人気があるらしいですが、目の付け所に問題があるかもしれません。」

黒川尊は眉間を揉みながら、しばらく躊躇した後で口を開いた。「九様はいずれ知ることになる。」

井上和馬も考えてみれば、それはその通りだった。早く死ぬか遅く死ぬかの違いでしかない。

そこで、井上和馬は深く息を吸い込んで、閉ざされた扉をノックし、おそるおそる扉を開けた。

部屋のカーテンは全て引かれており、わずかな隙間から漏れる微かな光が男の顔に落ちているのが見えた。

庄司輝弥の長身は、ソファーに横たわり、片膝を立て、片手で目を覆っていた。いつもは首元までびしっと締められている黒いシャツのボタンが二つほど外され、妖艶なまでに美しい顔は病的な蒼白さを帯び、全身から退廃的で陰鬱な雰囲気を漂わせていた。

しかし、そんな様子は彼の魅力を損なうどころか、むしろ彼をより危険で不可思議な存在に見せ、まるで古城で千年の眠りについていた吸血鬼のようだった……

実は、静かな主の方が、怒り狂う主よりも百倍危険なのだ。

井上和馬は唾を飲み込み、おずおずと近づいた。「九、九様……メッセージが届いています……沢田夢子様からです……たくさん来ていて……急用かもしれません……」

しかし、庄司輝弥は興味を示さなかった。