第42章 私と6時間を

あばずれ……

沢田夢子は目を見開いて、雨宮由衣がまさかこんな言葉を口にするとは思いもしなかった。

黒田悦男は雨宮由衣にとって神様のような存在で、誰も黒田悦男の悪口を言うことは許されないはずだったのに。

沢田夢子は心中不安と驚きで、彼女を見つめながら言った。「由衣、どうして黒田様をそんな風に言うの!これは全部雨宮望美のあの売女のせいよ。あの女の父親が雨宮家を奪って、その上厚かましくもあなたの婚約者まで奪ったのよ。黒田様にも選択の余地がなかったはず!一体何があったの?どうしてそんな風に考えるようになったの?」

雨宮由衣の黒田悦男への一途な想いは、実の両親との関係まで断ち切るほどだったのに、どうして突然諦めることができるのだろう。

雨宮由衣は適当に答えた。「別に、ただ気づいただけよ。」

沢田夢子は急いで諭した。「由衣、感情的になっちゃダメよ。これだけ長い付き合いなんだから……」

雨宮由衣は欠伸をして、明らかにこの話題を続けたくない様子で、彼女の言葉を遮った。「眠いの。寝たいから、また今度話しましょう!」

沢田夢子はまだ何か言いたそうだったが、雨宮由衣が既に欠伸をしながらベッドに横たわったのを見て、仕方なく立ち去るしかなかった。

なぜか今回学校に戻ってきた雨宮由衣は、どこか違う気がする……

以前は自分の言うことを何でも聞いてくれたのに、今では何度も自分の制御を超えて、態度までどんどん冷たくなってきている。

沢田夢子が確実に去ったのを確認すると、雨宮由衣はすぐに起き上がり、洗面所の方へ向かった。

さっきの沢田夢子との会話を、庄司輝弥も聞いていたはず。沢田夢子の本性が分かったでしょう?

雨宮由衣は洗面所のドアを開け、急いで悪魔様を外に出した。「ごめんなさい、ごめんなさい!もう行っちゃいました!夢子だったんです。寮監の点検かと思って、びっくりしちゃいました!」

雨宮由衣がドアを開けた時、庄司輝弥の大きな体が洗面台に寄りかかっていた。隣のかごには彼女の着替えた服が入っていて、一番上にはイチゴ柄の下着が見えていた。

雨宮由衣は急に恥ずかしくなり、手近にあったタオルですぐにそれを隠し、こっそりと庄司輝弥の表情を窺った。