第98章 最後まで責任を持つ

そのとき、小講堂の入り口から突然「二宮先生が来た!」という声が上がった。

案の定、入り口から二宮晴香が入ってきた。その横には、先ほど二宮晴香に連名の書類を届けた藤原雪の取り巻きの一人がいた。どうやら、状況がおかしいと気づいて藤原雪に派遣され、援軍を呼びに行ったようだ。

一瞬にして全員がほっと息をつき、雨宮由衣もすぐに立ち上がった。

気のせいかもしれないが、彼女が立ち上がった瞬間、庄司夏の顔に邪魔されたような不満げな表情が一瞬浮かんだように見えた。

二宮晴香は連名の抗議書を手に持ち、非常に苛立たしげな表情で雨宮由衣を一瞥した。「雨宮由衣、どうしていつもあなたなの!いったいどれだけ面倒を起こせば気が済むの?」

そう言って皆の方を向き、「みんなの意見は確認しました。公平を期すために抽選で決めたのですが、今の状況ではより大きな問題を引き起こしています。最近の練習がうまくいっていないと聞いていますし、クラスのイメージも考慮して、白雪姫の配役を改めて選び直すことにしました。みなさん、異議はありますか?」

この言葉を聞いて、その場にいた全員が活気づき、まさに溜飲が下がる思いだった。全員が声を揃えて「ありません!」と答えた。

雨宮由衣もほっと胸をなでおろした。やっとこの時が来たのだ。

しかしそのとき、彼女の横から突然の声が聞こえた。「私は反対です。」

話したのは、庄司夏だった。

近くにいた藤原雪は慌てて庄司夏の前に駆け寄り、その服の裾を引っ張りながら小声で注意した。「庄司君、何を言ってるの!先生も同意してくれたのに、まだ何か気になることがあるの?」

雨宮由衣は警戒心を露わにして庄司夏を見つめた。この男は一体何をしようとしているのか……

彼は冷たい目つきで会場の全員を見渡し、「ルールが何度も変更できるのなら、次に選ばれた人もまた途中で交代させられる可能性があるのではないでしょうか?それに、公演まであまり時間がありません。人を変えれば最初からやり直しになります。私たちの練習は順調に進んでいて、最後の一場面だけが問題でした。その問題は私にあり、すでに状態を立て直しました。練習は滞りなく進められることを保証します。」