「白雪姫の役は私が選んだんだ。最後まで責任を持つよ」と庄司夏が言った。
庄司夏の言葉が響いた瞬間、小講堂内は静まり返り、誰もがこの予想外の展開に呆然としていた。
「庄司君がそう言うなら、とりあえずそうしましょう。何か問題があったら、いつでも先生に相談に来てください」
クラス全員の署名なんて言っていたけれど、結局二宮晴香は庄司夏の意見を優先し、穏やかな口調でそう言って立ち去った。
二宮晴香が去った後、藤原雪は我慢の限界に達し、庄司夏に向かって叫んだ。「庄司夏、なんでそのブスの味方するの!」
庄司夏は返事をしなかった。おそらく藤原雪の言葉など耳に入っていなかったのだろう。今、彼の注意と視線は雨宮由衣に向けられていた。
その眼差しには深い愛情と長年の待望が込められているような錯覚を覚えるほどの熱意があった……