「敵の敵は味方という言葉がありますよね!よく考えてみてください。もしあなたが望むなら、私が保証します。たった一日で、今まであなたを見向きもしなかった、まるで使い古しの履物のように扱っていた蘇我隼樹の目を、あなたから離れないようにしてみせます。もちろん、投稿を削除してほしいなら、それでも構いませんが!」雨宮由衣はインチキ坊主のように、江川麗子の心を掻き立てるような言葉を残して立ち去った。
江川麗子は雨宮由衣の去っていく後ろ姿をぼんやりと見つめていた。彼女は雨宮由衣を信用していなかったが、雨宮由衣が描いた夢のような話があまりにも魅力的だということは認めざるを得なかった!
彼女が最も納得できないのは、蘇我隼樹が最初から最後まで彼女を愛していなかったということ。そして最も憎いのは、沢田夢子の欺きと嘲笑だった!
蘇我隼樹を後悔させてやる!あの時を悔やませてやる!沢田夢子にも代償を払わせてやる!
しかし、どうすればいいのか全く分からなかった。もし分かっていれば、今日のような状況には陥っていなかったはずだ。
雨宮由衣を、信じるべきなのだろうか……
……
江川麗子との会話を終えた後、雨宮由衣は寮に戻り、メイクを落として、パックをし、シャワーを浴びた。
ベッドに横たわりながら、あのツンデレをどうやって潰すか考え続けた……
実際、庄司夏と加瀬東は大して変わらないのかもしれない。もし彼女が忠誠を示せば、庄司輝弥もそれほど気にしないかもしれない。
雨宮由衣はスマートフォンを触りながら、そう考えていた。
庄司輝弥に電話をかけるべきか迷っているところに、突然着信音が鳴り響き、彼女は驚いた。
発信者名を見て、さらに驚いた。
井上和馬からの電話だった!
「もしもし、雨宮さん?」
「井上執事、何かご用でしょうか?」雨宮由衣は尋ねた。
「雨宮さん、九様がお会いになりたいとのことです。」
雨宮由衣の心臓が一瞬止まりそうになった。「どちらにいらっしゃいますか?」
「ガランバーです。私は既にいつもの場所で、大学の門の前でお待ちしております。」井上和馬が答えた。
雨宮由衣は深く息を吸い込んだ。「分かりました。すぐに向かいます。」
電話を切った後、雨宮由衣は時間を無駄にする余裕はなく、身支度する時間もなく、急いで服を着替えて出かけた。