第70章 嫌悪するのが当然

男は地面のものを動かずに見つめ、そのノートを見つめ、少女が一文字一文字丁寧に書き記した内容を見つめていた……

しばらくして、庄司輝弥は地面のものを一つ一つ丁寧に拾い上げ、少女の方へ歩み寄った。

少女は膝を抱え込み、深く頭を埋めていた。その防衛的で拒絶的な姿勢は、まるで自分を小さな世界に閉じ込めているかのようだった。

折れ曲がった首筋には、はっきりと青紫の痕が残っており、目を覆いたくなるほどだった。

庄司輝弥は手を伸ばし、少女の肩に触れようとした。

しかし、彼が少し近づいただけで、少女の体は一層激しく震え始めた。

男の薄い唇は固く結ばれ、宙に浮いたままの手は、しばらくしてようやく下ろされた。一歩後ろに下がりながら、彼は少女から目を離さず、脳裏に様々な光景が次々と浮かんでは消えていった……

彼女は彼に言った。理解できたと。彼と普通に付き合ってみたいと。彼女は、メロンのように甘い存在になろうと努力すると言った。

彼女は祖母に会うことを承諾し、おとなしく見えるように特別に着飾り、真剣にプレゼントを選び、お年寄りを喜ばせた。

彼が不眠症だと知り、おそらく祖母から何か聞いたのだろう、わざわざ病院で専門医の予約を取り、経験豊富な医師に彼の症状について尋ね、メモを取り、薬を買った……

しかし最後には、彼の理不尽な怒りと非難、そして理由もない暴力を受けることになった……

彼女は彼を恐れ、嫌悪している……

恐れないはずがない。

嫌悪しないはずがない。

男の眼差しは漆黒に染まり、空間全体が息苦しいほどの重圧に満ちていた。

ベッドの上で身を縮めていた少女は、周囲の恐ろしい気配を感じ取り、震えながら膝に埋めていた小さな頭を上げた。彼を見つめる漆黒の瞳には恐怖と戸惑いが満ちており、うわごとのように呟いた。「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……私が悪かった……分かっています……分かっています……」

少女の恐怖に満ちた表情と謝罪の言葉を目の当たりにし、庄司輝弥の薄い唇は固く結ばれ、背筋は限界まで引き絞られた弓のように緊張していた。

井上和馬は庄司輝弥が姿を消した後すぐに追いかけ、今はドアの外に立っていた。