隣の席の相手がどんな表情をしているかなど気にもせず、雨宮由衣は安心して眠り続けた。
うとうとしているうちに、彼女は夢を見た。
銃声、爆発音、叫び声が至る所で鳴り響いていた……
視界に入るものは全て、空一面に広がる血と炎だった。
すでに疲労困憊していたが、それでも走り続けなければならなかった。走り続けなければ。
周りは恐怖に怯える人々ばかりで、次々と傍らで人が死んでいく。次は自分かもしれない。死の気配が迫ってくる。
どれだけ走ったのかわからない。まるでその道に終わりなどないかのように……
ついに、前方に道はなくなり、崖だけが残された。背後には黒々とした渦、前方には迫り来る殺意……
退路を断たれ、彼女は手にした刀を振り上げ、次々と人々の首を切り裂いていった……
大地は血に染まった……
「キーンコーンカーンコーン」授業開始のチャイムが鳴る。
雨宮由衣は汗びっしょりになって目を覚ました。
くそっ……
また、あの悪夢を見てしまった……
あの時、海外でテロに遭遇して以来、あの恐ろしく凄惨な光景を何度も夢に見るようになった。
でも、その光景に怯えたわけではない。夢の中の自分の冷血な目つきに恐怖を感じたのだ。
夢の中の自分は、まるで別人のように見知らぬ存在だった……
傍らで、庄司夏は雨宮由衣が悪夢を見ているようだと気づき、眉をひそめた。何か言おうとしたその瞬間、突如として「私の彼氏すごいの」という言葉が脳裏に轟き、まるで沈黙の呪文のように彼の口を閉ざした。
……
「必殺技」の効果は絶大で、雨宮由衣はその日一日、とても平穏に過ごせた。
放課後になるとすぐに、彼女は寮に戻って江川麗子を探しに行った。
今日は学校のバスケットボール部の試合があり、多くの人が見に行きたがっていたため、学級委員長は練習を一日休みにしてくれた。
戻ってみると、以前はかなり空いていた寮の部屋が、今では物で溢れかえっていた。
荷物を整理していた江川麗子は彼女が戻ってくるのを見て、少し不安そうに話し始めた。「先生に部屋替えの申請をして、今日の休みを利用して全部の荷物を運んできたの。もし私と一緒の部屋は嫌だったら、先生に改めて手配してもらうけど……」
雨宮由衣は当然気にしなかったが、少し心配だった。