「あのね、昔はあの人がいないと生きていけないと思ってたでしょう?あの人が全てだと思ってたでしょう?でも実際は井の中の蛙だったのよ!世界はこんなに広いのに、なぜ蘇我隼樹という一本の木に縛られているの?」
風間川治は家柄も良く、成績も優秀で、スポーツも得意、そして顔もイケメン。蘇我隼樹とは比べものにならないほど上で、蘇我隼樹を打ち負かすには十分すぎるほどだった。
彼女は一方で蘇我隼樹を懲らしめたいという思いと、もう一方で江川麗子を心配する気持ちがあった。
江川麗子の性格からすると、自殺は思いとどまったとしても、今回の出来事は彼女に大きな心の傷を残すことは間違いない。彼女のあの偏屈な性格では、これからもう二度と男性を信じられなくなるということも十分にありえた。
江川麗子と風間川治がうまくいけばそれに越したことはないし、たとえうまくいかなくても気を紛らわせるにはいいだろう。