「だめだ」庄司輝弥の口調には一切の余地がなかった。
雨宮由衣は明らかに納得がいかない様子で、「どうしてよ?」
庄司輝弥は無表情で少女を一瞥し、「強制されたメロンに甘みはない」と言った。
雨宮由衣は一瞬言葉に詰まった。「……」
反論のしようがなかった!
まさか自分の言葉が自分を打ち負かすことになるとは。
「触らせてくれないなんて!」雨宮由衣は庄司輝弥を悪者を見るような目つきで睨みつけ、プンプンしながら走り去った。
いつか必ず白を甘いメロンに変えてみせる!絶対に!
雨宮由衣が去った後、井上和馬は心配そうに軽く咳払いをして、「九様、スルートの錦園への出入りを禁止した方がよろしいでしょうか?雨宮お嬢様が怪我でもされたら…」
庄司輝弥は物思いに耽るように少女の去った方向を見つめ、「必要ない」と答えた。