第173章 金の太もも(ゴールデンレッグ)にしがみつく

「ありがとう、若葉姉。ブレスレットとても綺麗です」雨宮由衣は箱の蓋を閉じ、何も気付かないふりをした。

「気に入ってくれて良かった」秋山若葉は彼女に挨拶を済ませると、庄司輝弥の方を向いた。

庄司輝弥を見る時、彼女の態度は急に親密になり、眼差しも柔らかくなった。「九、深都の件は全て片付いたわ。詳しい状況は今夜話すわ」

「ご苦労」庄司輝弥は何の表情も見せずに雨宮由衣から視線を外した。

先ほど秋山若葉を見た瞬間の由衣の表情は、とても異常だった。

「本当に私の苦労を分かってくれるなら、言葉だけじゃなくて?」秋山若葉は眉を上げた。

庄司輝弥は井上和馬の方を見やった。井上和馬はすぐに用意していたものを取り出した。なんと上等な米酒の壺だった。

秋山若葉はそれを見て喜色満面になった。「七兄の作った米酒!前回私が貴重な古医書と交換しようとしたのに断られたのに!どうやって手に入れたの?」

「井上が手配した」

「また井上さんを困らせて。いつも無理難題ばかり押し付けて!」

雨宮由衣は静かに庄司輝弥の傍らに立ち、二人が楽しげに会話を交わすのを見つめていた。他人が入り込む余地など全くなかった。

その時、入り口から影流の興奮した声が聞こえた。「若葉お嬢様!いつお戻りになったんですか!」

影流は秋山若葉を見るなり主心骨を見つけたかのように、目を輝かせた。

秋山若葉は笑って言った。「今着いたところよ。最近新しい拳法を習得したって聞いたけど?一緒に練習しない?」

「はい!」影流は即座に頷いた。

「この腕白娘め、帰ってきたと思ったら早速喧嘩か。女の子らしくないったらありゃしない!」お婆様は呆れたように叱ったが、その溺愛の籠もった口調には全く叱責の意味はなかった。

庄司輝弥が秋山若葉ではなく、彼女のような突然現れた小娘を選んだことに、お婆様はきっと失望しているのだろう。

ただ、誰かができたのだから、誰であれ、良い悪いは別として、庄司輝弥が何年も独身で女性を寄せ付けなかったよりはましなのだろう。

お婆様は言い終わると台所へ向かい、雨宮由衣は庄司輝弥と共に花棚の下の木のテーブルに座った。

今、秋山若葉は上着を脱ぎ、影流と対戦していた。

雨宮由衣は骨抜きになったかのように籐椅子に座り、自由奔放な二人の姿を静かに見つめていた。