第171章 私ってこんなに純真なのに

へへへ……

庄司輝弥が迷わず自分を選んだのを聞いて、雨宮由衣はようやく気が晴れ、満足した。

庄司輝弥は手で少女の腰を軽く支え、転がり落ちないようにしながら、耳元で低い声で言った。「もう済んだか？」

うぅ、悪戯がバレちゃった……

雨宮由衣は弱々しくつぶやいた。「だって、あの人がいつも私を妖妃や妖狐を見るような目で見るんだもん。私はこんなに純真なのに……」

純真？

庄司輝弥は自称純真な彼女に冷ややかな視線を向けた。

雨宮由衣は軽く咳払いをし、その言葉に自信がないことを悟ったのか、口を尖らせて言った。「あの人が私のことを嫌いなら、私だってあの人が嫌いよ！」

「彼を刺激するな」庄司輝弥は軽い警告を込めた口調で言った。

雨宮由衣は即座に不満げな表情を浮かべた。「ひいき！」

庄司輝弥は冷たい瞳でゆっくりと彼女を見つめた。「確かにひいきしている」

雨宮由衣：「……」

まあいいわ、さっきの庄司輝弥の対応は十分自分に配慮してくれていたし、味方してくれていたことは認めざるを得なかった。

「とにかく、向こうが仕掛けてこなければ私も何もしないわ。でも、また私を睨むようなことがあったら、あの人の当主を困らせてやる！それで困らせてやるわ！」雨宮由衣は言った。

庄司輝弥：「……」

突然巻き込まれた影流の当主である庄司輝弥は、こんな展開は想定外だったようだ。

うん、影流の給料を上げてやろうか。

すぐに車は本邸に到着した。

車から降りる時、予想通り雨宮由衣は影流の冷たい殺意に満ちた恐ろしい視線と対峙した。

雨宮由衣は今日という日に因縁を付けられたことを悟った。

でもそれがどうした、どうせ完璧な秋山若葉という玉があるのだから、彼女が何をしても、あの人は決して自分のことを良く思わないだろう。

寵愛を笠に着て、国を傾けるような存在になってやる、それがどうした？

前世では庄司輝弥が一番怖かったけど、それ以外にも庄司輝弥の側近であるこの殺人マシーンも怖かった。

影流の冷たい視線に見つめられるたびに、まるで千刀万剣で切り刻まれているような気分だった。警告や脅しを受けることも多く、まるで泥棒のように警戒されていた。

錦園で何年も過ごし、庄司輝弥が最高のものを与えてくれても、一瞬たりとも帰属感を感じることはなかった。

あの時受けた仕打ち、今世では全て返してやる。