第240章 あなたのオーラを分けてもらう

朝食を済ませ、必要な物を全て用意した後、雨宮由衣は出かける準備をした。

出発する直前、彼女は何かを思い出したように足を止め、「ちょっと待って!すごく大事なことを忘れてた!」と言った。

そう言うと、一目散に中庭へ駆け込み、木陰に横たわる白い塊へ向かって、そっと足音を忍ばせながら近づいていった。

最近、白は錦園によく来ているが、庄司輝弥は彼女が白とばかり遊ぶことを許さなかった。「物に溺れると志を失う」と、勉強に影響が出るというのが理由だった。

でも、もうすぐ苦しい時期も終わる。夏休みになれば、白と一緒に遊べるのだ。

白は誰かが近づいてくるのを感じたのか、耳をピクリと動かしたが、相手にする気はないらしく、依然としてだらしなく横たわったまま、尻尾をゆらゆらと揺らしていた。