男が動かなくなったのを感じ、雨宮由衣はまばたきを繰り返した。
寝てしまったの?
まさか本当に効くなんて!
最初の時、庄司輝弥は井上和馬の携帯の着信音で目を覚ましそうになったけど、その時も同じようにして寝かしつけたんだった。今回は咄嗟の思いつきだったのに、うまくいくなんて。
よかった、よかった...本当に怖かった...
ますます不思議になってきた。前世では庄司輝弥の不眠症は重症で命も危ういほどだったのに、今世ではどうしてこんなに簡単に眠れるの?
最初は偶然だと思っていたけど、もう一ヶ月も観察してきたから、間違いないはず。
彼女の転生が、知らないうちに何かを変えてしまったのかしら?
蝶の羽ばたきのように、小さな変化が予測できない大きな変化を引き起こすことだってある。
どんな理由であれ、雨宮由衣はこの姿勢のまま動かずに、もう彼を起こさないようにした。