庄司夏の後、林翔太も怒って帰ってしまった。
雨宮由衣は複雑な気持ちで庄司輝弥を見つめながら尋ねた。「この数日間、ずっと夜は家にいたのは、私に補習をするためだったの?」
先ほど林翔太の話を聞いて、彼女はようやく気づいた。庄司輝弥は最近、必ず夜8時前には帰宅していて、一度も遅くなることはなかった。
庄司輝弥は否定せず、意味深な眼差しで彼女を見つめた。「授業に不満があって、授業料の返金を要求する人がいるかもしれないからね」
「ぷっ、こほこほ...」心当たりがある雨宮由衣は、すぐに心虚になった。「そ...そんなことないわ...」
授業料の返金なんて、確かに考えたことがあったけど...
志願票を提出した後、次の一週間、雨宮由衣は全身全霊で受験直前の最後の追い込みに入った。
あっという間に大学入試の前日の夜となった。
隣で庄司輝弥はすでに眠りについていたが、雨宮由衣は明日の試験のことが気になって、ベッドの上で寝返りを打ち続けていた。
ああ、気づけば庄司輝弥と一緒に寝るようになってから、もう一ヶ月も経っていた。
最初は緊張していたのに、今では自分を抱き枕のように感じられるようになっていた。
庄司輝弥が言う「寝る」は、本当に寝るだけで、しかもとても真面目に寝ていた。
彼女はこんなに親密な姿勢に慣れていないことを除けば、他は全て問題なかった。
そして明日は入試だ。これが最後の授業料を支払う夜になる...
おそらく彼女が落ち着かない様子だったからか、庄司輝弥の蝶のような長い睫毛が少し震え、そしてゆっくりと目を開いた。
暗闇の中、その深い瞳が腕の中の少女を一瞥し、少し顔を下げると、次の瞬間、少女の唇に口づけた...
もぞもぞと動いていた雨宮由衣は、突然の唇の柔らかさと温もりに、目を見開いた。「...」
「起こしたね」男の声には明らかに不機嫌さが滲んでいた。
しまった!うっかり起こしてしまった!悪魔の起床機嫌の悪さは有名なのに!
雨宮由衣は唾を飲み込んだ。「わ...私、わざとじゃないの...明日入試だから...緊張して眠れなくて...」
「なら、寝なくていい」
言葉が終わるや否や、男は隙間なく彼女を押し倒し、額や目、唇、鎖骨へと次々とキスを落としていった...