第288章 清算する時

早朝、輝星メディア株式会社のビル。

最上階の奥にある執務室は、極めて豪華な内装で、壁には中世の油絵と古めかしい獣の角が掛けられ、机の上の色とりどりのエナメル花瓶は陽光の下で眩い輝きを放っていた。

周藤史良は黒いコーヒーを手に持ち、後ろの本革ソファーに全身をリラックスして沈め、とても満足げな表情を浮かべていた。

男はアルマーニの高級オーダーメイドスーツを着て、パテック・フィリップの限定モデルの腕時計を付け、髪は艶やかに整えられていた。すでに四十代半ばを過ぎているが、とても良く手入れされており、見た目は三十代前半にしか見えなかった。

この時、史良の向かいには一人が座っていた。少し古びた白いTシャツとウォッシュドジーンズを着て、シンプルな黒髪で、素顔には一切化粧をしておらず、光に背を向けた影の中には造物主が丹精込めて彫り上げたかのような完璧な顔があった。