第287章 江戸川でも洗い落とせない

傍らで雨宮由衣は庄司輝弥を見つめながら、箸を噛みながら、電話を切った後に尋ねた。「行くの?」

「ちょっと用事があって」庄司輝弥は言いながら、立ち上がった。

「そう...仕事が大事だもんね。じゃあ、早く行ってきて!」雨宮由衣は立ち上がり、彼のコートを取って、玄関まで見送った。

橋本羽も立ち上がって後ろについて行き、「お酒飲んでるから、運転できないよね?」

「運転手さんいる?」雨宮由衣が尋ねた。

庄司輝弥:「いるよ」

雨宮由衣はやっと安心して、手に持っていたコートを彼に渡した。「気をつけて行ってね!」

かなりお酒を飲んでいたにもかかわらず、庄司輝弥の様子はいつもと変わらず、とても冴えているように見えた。彼の「まあまあ」という酒量は謙遜だったようだ。

雨宮由衣の言葉を聞きながら、庄司輝弥は黙ってコートを受け取って着て、スーツのボタンを一つ一つ留めていき、そして軽く「うん」と返事をした。