雨宮白が彼の目の前で「私のタレント」という傲慢な言葉を口にしたのを見て、周藤史良は怒りに燃えた。
彼は輝星では常に絶対的な存在で、若造に頭を踏みにじられるような挑発を許すはずがなかった。そこで即座に渡辺光に電話をかけ、しかもビデオ通話を選んだ。
周藤史良は輝星メディアの敏腕マネージャーで、輝星の収入の9割は彼が担当するタレントからのものだった。宮本旭一人だけでも彼の地位は磐石であり、本社での発言力も絶大だった。
一方は会社の重鎮、もう一方は新人マネージャー。渡辺光がどちらの味方につくかは言うまでもなかった。
等々力辰の心に灯った希望は、一瞬にして冷水を浴びせられたように消えた。
「もしもし、渡辺部長!」
「雨宮白と会えたか?引き継ぎは済んだか?」ビデオ画面の中で、渡辺光は広々としたオフィスの赤木の椅子に座っていた。