第291章 彼は私の人だ

周藤史良は服の襟を整え、怒りを抑えながら歩み寄った。

ちらりと見ると、雨宮白の手にあるのは確かに引継ぎ書類だった。

周藤史良は顔を曇らせ、素早く契約書と書類に目を通し、万年筆を取り出して、いくつかの確認書に署名した。

周藤史良は深く息を吸い、「これでいいか?」

「ありがとうございます!」雨宮由衣は満足げに書類を片付けた。

「さっさと出て行け!」周藤史良は腹に火がついていた。

丸三年、ついさっきやっと等々力辰を手に入れられそうだったのに、このガキに邪魔されてしまった。

雨宮白のような生意気なガキは、いつでも懲らしめられる。だが今日の等々力辰は絶対に逃がさない。

等々力辰は今日の周藤史良が簡単には自分を見逃してくれないことを知っていた。周藤史良が客を送り出すような不機嫌な表情を見せ、二人の業務引継ぎも完了し、あの見知らぬ男が去った後、また周藤史良と二人きりになることを考えると、顔が一瞬で青ざめた……