第310章 最初の火種

雨宮由衣は口元を歪めて、すでに顔色が青ざめ始めた林浩を一瞥し、携帯に向かって続けて話した。「でも、相手は周藤総監の配下のタレントですよ!」

「え?二線以下なら好きに干してもいいんですか?」

「はい、ありがとうございます、渡辺部長……」

ここまで聞いて、林浩はついに我慢できなくなり、すぐさま雨宮白の前に駆け寄った。「雨宮マネージャー!申し訳ありません!一時の感情でした!先ほどは失礼な態度を取ってしまい!どうか...どうかチャンスをください!二度とこんなことはしません!」

林浩は今や完全にパニックに陥っており、先ほどの傲慢な態度は微塵も残っていなかった。

雨宮白のこの電話は、まるで重いハンマーのように、一撃で彼を目覚めさせた!

一本のドラマでブレイクしたことで、周りに新人が取り入ろうとするようになり、最近調子に乗りすぎていた。自分がまだ三流の俳優に過ぎないことを忘れていた。

一方、雨宮白は渡辺部長が直々に送り込んだ人物で、武志さえも最近は正面から対立を避け、表面上は敵対しないようにしている。相手はすでに渡辺部長に確認を取っており、武志の性格なら、昨日等々力辰と自分を交換できたように、今日は自分を見捨てることもできる。

本当に干されてしまう可能性があるのだ!

雨宮由衣は意味ありげに相手を一瞥して言った。「謝るべき相手は、私じゃない」

林浩は顔を曇らせ、拳を強く握りしめ、最後には等々力辰の方を向いて、一言一言はっきりと言った。「等々力先輩、申し訳ありません。私の無礼をお許しください!」

言い終わるとすぐに緊張した様子で雨宮由衣を見つめた。「これでいいですか、雨宮兄?渡辺部長に改めて説明していただけませんか!本当に反省しています!」

雨宮由衣はようやく満足したような様子で、手のひらの携帯を開いて、彼の前に差し出した。

すると、林浩を含む全員が、携帯の画面は電話帳のページで、雨宮由衣は先ほど実際には電話をかけていなかったことを目にした……

林浩はバカみたいに口を大きく開けたまま、雨宮由衣の携帯をぼんやりと見つめ、何が起きたのかを理解すると、顔が豚の肝臓のような色に変わった。

自分は...自分はまんまと騙されたのだ!!!

このクソイケメンに、まるでサルのように弄ばれた!