第285章 女より美しい

庄司輝弥は携帯が突然鳴り出したため、バルコニーに出て電話に出た。

橋本羽は大スターらしい気取りもなく、何もしないのは申し訳ないと思い、自ら台所へ行って雨宮由衣の手伝いをした。

野菜を洗っている青年の白いシャツの袖は無造作に捲られ、流水の下で霜のように白い手首を見て、彼はしばし我を忘れた……

この雨宮白は、その顔だけでなく、体までも女性より美しい。

芸能界では最近数年、女の子より綺麗な男性が流行っていて、どんな若手イケメンを見ても女性たちが自信を失うほどだ。彼の周りにもそういう人は多いが、意図的に作り上げられたいわゆる美男子は、プラスチックの造花のように、振る舞いも気取りすぎている。一方、雨宮白は山々や砂漠の夜明けや夕暮れの中を吹き抜ける風のように、凛とした気配を放ちながらも自由奔放で、まるで世の中のすべての暗い影を吹き払えそうだ……

男性を見つめて見とれていたことに気づいた橋本羽は、慌てて首を振って我に返り、「手伝わせてください!」

そう言って隣の野菜を手に取り、洗いながら何気なく尋ねた。「雨宮さん、ユニバーサルと契約したって聞きましたが?」

「いつも雨宮さんって呼ばれるの、なんか変な感じがするから、名前で呼んでくれていいよ……」雨宮由衣はそう言って、隠すことなく直接答えた。「うん、ユニバーサルと契約した。今日、渡辺部長と話がまとまったところ」

橋本羽はずっと、彼が渡辺部長と交わした条件は一体何だったのかと考えていたが、それがユニバーサルに入る機会だったとわかった。

雨宮白のような特別なオーラと容姿は、芸能人にとって最高の天賦の才能だ。でも、雨宮白の能力からすれば、マネージャーを選んでも才能を埋もれさせることにはならないし、むしろ彼に더 適していると感じた。

「雨宮さ……雨宮白、どの事務所に行くの?」橋本羽は尋ねた。

「輝星メディアだよ」雨宮由衣は答えた。

「輝星メディア」という言葉を聞いて、橋本羽の眉がすぐに寄った。

しかし、少し考えてみれば意外でもなく、しばらく考えてから口を開いた。「渡辺部長は用心深い人だから、最初から本社に入れるわけないよね。