橋本羽は驚愕した。情場を股にかけ、若い男たちを手玉に取ってきた新津香織が赤面するのを初めて見たのだ。
自分が連れてきた手前、橋本羽は彼女が度を越してしまうことを心配し、急いで彼女を連れ出した。
橋本羽が車を運転する中、雨宮由衣は助手席に座っていた。完全に酔っ払っているらしく、焦点の定まらない目で彼の顔をじっと見つめていた。
橋本羽は彼女が酔いすぎて気分が悪いのかと思い、運転しながら隣の青年の方を少し向いて尋ねた。「どうした?吐きそう?車にゴミ箱があるぞ!」
助手席で、青年の目が次第に焦点を取り戻し、彼の顔を見つめ続けながら、ふっと微笑んだ。その笑みは目元から溢れ出し、夜の闇の中でその瞳は千の木々に咲く白い花のように輝いていた。「ふふ、こんな綺麗な顔を見て、吐きたくなるわけないでしょう?」