橋本羽は自分の言葉が雨宮由衣を完全に売り渡してしまったことに全く気付かず、不安そうに続けて言った。「私と香織姉は口先だけの戯れだったけど、あなたの友達は大変だったわね。大の男を好き放題触りまくって、本当に何もしなかったの?」
雨宮由衣:「……」
つまり、庄司輝弥の体についていたあの跡は、全部自分がつけたものだったの?
もう言わないで、静かにさせて……
部屋の雰囲気がどこかおかしいと感じたのか、橋本羽は朝食を置いて逃げるように出て行った。
一瞬にして、部屋には雨宮由衣と庄司輝弥の二人だけが残された。
雨宮由衣は逃げ出すか土下座して許しを乞うか、しばらく迷った末、結局逃げ出す勇気が出ず、おそるおそる庄司輝弥の方へ近づいていった。「ダーリン……ごめんなさい……私が悪かった……私が風紀を乱した……私が見苦しかった……」
まずい、どうしよう……
「約束を破ったのは分かってます。でも人は聖人君子じゃないし、誰だって間違いを犯すものです。人は……」雨宮由衣はもう言葉が出てこなくなり、最後にこう付け加えた。「私はあなたの最愛の可愛い人でしょう!だから、もう一度チャンスをください?」
男は冷たい光を湛えた瞳で彼女を見つめ、意味ありげに一瞥した。その意図は明らかだった。
雨宮由衣もこれが大変なことになったと分かっていた。手を挙げて言った。「弁明させてください。昨夜、橋本羽が好意で業界の人脈を紹介してくれて、パーティーに誘ってくれたんです。パーティーってそういう場所じゃないですか、お酒を飲まないわけにはいかなくて。ただ体裁を保つつもりだったんです。まさか私の酒量がこんなに弱いとは思わなくて、うっかり酔っちゃって……その後のことは本当に覚えてないんです……こんな悪酔いするなんて知らなくて……」
庄司輝弥がまだ無反応なのを見て、雨宮由衣は思い切って言った。「ダーリン、こうするのはどう?今日から、いつでもどこでもあなたの添い寝枕になります。あなたが眠たくなったら、すぐに駆けつけますから、いいでしょう?」
庄司輝弥は彼女を横目で見て、冷たい声で言った。「ベッドに縛り付けておいた方が便利じゃないか?」