第360章 こんな風に友達を騙すのか

雨宮由衣は一気にたくさん注文した。自分へのご褒美だと思い、それにこんな店でこれだけ注文しても大した金額にはならないだろうと考えた。

店主は雨宮由衣を何度も見つめた。最近の若い女性は皆ダイエットをしているのに、この子は変わっているなと思った。

もちろん、店主としてはこういうお客さんが大好きだ!

「はい、少々お待ちください!」屋台はこの時間帯が忙しく、店主は長居せず、メモを取るとすぐに立ち去った。

雨宮由衣は携帯を取り出し、庄司輝弥にメッセージを送ろうとしたが、後ろから少し聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「店主さん、餃子を5皿お願いします!」

雨宮由衣は横目で見ると、古びたデニムジャケットを着た若い男性が屋台に駆け込んでくるのが見えた。

「根岸...健吾?」雨宮由衣は驚いた。