大友照の話を聞き終えると、二宮詩音と北条敏江の母娘は、驚きのあまり顎が外れそうになった。
雨宮由衣が贈った品は縁起の悪いものだと思っていたのに、大友照の口からは宝物だと言われるとは……
二宮詩音と北条敏江がまた何か言おうとするのを見て、二宮家秀は怒りの目を向けた。今夜の恥をかきまくりはまだ足りないとでも言うのか?!
「部屋に戻れ!」
二宮家秀は北条敏江を睨みつけた。
普段は怒ることのない二宮家秀がこれほどの怒りを見せるのは初めてで、母娘は心が縮み上がり、一言も発せず、二宮家秀の後ろについて退席するしかなかった。
……
上座で、大友照はまだ諦めきれない様子で、「雨宮の親父、交換するかどうか、はっきり言ってくれよ!」と声をかけた。
雨宮弘は少し黙った後、「これは私への贈り物ではない」と言った。