第353章 一つの事を宣言する!

雨宮靖臣は腹立たしさのあまり、もう構わないと思い、ただ雨宮由衣が一歩一歩と壇上の黒田悦男と雨宮望美の方へ向かっていくのを見つめるしかなかった。

「だから言っただろう。彼女は黒田悦男を見るだけで理性を失うって。今なら私の言葉を信じてくれるだろう!」雨宮靖臣の瞳の底に潜む暗い色の中に、一筋の痛みの色が隠れており、グラスを握る指は白くなるほど力が入っていた。

あのろくでなしさえいなければ、妹との関係がこんなことにはならなかったのに……

二宮美菜は娘を見つめる視線に心配の色を浮かべ、「靖臣、由衣をそんな風に言わないで。由衣は今回本当に変わったわ。もう衝動的な行動はしないと信じているの……」

雨宮昇平はため息をつき、何も言わなかった。たとえ娘が感情を抑えきれず衝動的に何かをしたとしても、父親として娘の幸せすら守れない自分に、彼女を責める資格も、止める資格もないのだから。