酒と料理を堪能した後、根岸健吾は立ち上がった。「店主さん、お会計を!」
店主はすぐに店内に入った。「9500円です。」
その声を聞いて、根岸は頷き、四人を見渡した。
四人も根岸を見つめ返した。
「金はどうした!払えよ!」根岸が言った。
「あぁ...」美男子はポケットから紙幣の束を取り出した。ほとんどが10円玉や20円玉で、根岸が慎重に数えると、合計でたった500円ほどだった。
道士は少々不本意そうに、新品の200円札を2枚取り出した。
「お前のは?」根岸は冷たい表情の美男に向かって言った。
「隊長、忘れましたか...私と旦那は組んでるんです。旦那が死体役で、私が泣き女をやって、夫を葬るために体を売る...このお金は私たち二人の収入なんですよ〜」美男子は根岸に向かって色っぽい目配せをした。
その様子を見ていた雨宮由衣は「...」
夫を葬るために体を売る?
この稼ぎ方...すごいな...
「くそっ!」根岸は丸テーブルを叩き、三人を指差した。「お前ら三人のクズ!今日一日で1000円も稼げてないじゃないか!」
「最近は商売が厳しくて...今日は占いを頼んだ人が一人だけで...それも当たらなかったから金をもらえず、400円は道で拾ったんです...」端正で妖艶な顔立ちの道士は、ため息をついた。
「言い訳するな!」根岸は手を振って遮り、レンガ運びの外国人を指差した。「徳川茜を見習え。一日で5000個のレンガを運んで、あれだけ稼いでるのに、お前らときたら、死体の演技だの、泣き女だの、インチキ坊主だの...1000円も稼げてない。恥ずかしくないのか、面目ないのか!」
「ぷっ、徳川茜...この名前を聞くたびに鳥肌が立つよ...」端正で妖艶な顔立ちの道士は、こっそり外国人作業員の方を見た。
「隊長、私につけた名前を、みんなが笑う理由は何ですか?徳川茜ってどういう意味なんですか?」外国人作業員は不満そうな顔をした。
「えーと...」根岸は外国人作業員を見て、重々しく言った。「徳川茜というのは、とても勇猛で威厳のある意味なんだ。みんなが笑うのは、自分たちにはその名前に相応しい器がないからさ!」
それを聞いて、外国人作業員は頷き、真面目な表情で言った。「隊長、この威厳のある名前が気に入りました。お金を稼いだら、うんこを食べさせてあげます!」