第367章 小心者はびくびくしている

雨宮由衣は自分の言葉が誤解を招いたことに気づいたらしく、思わず口角が引きつった。

上着を脱ぐだけなのに、そんなに慌てふためいた表情をしないでよ。

お姉さんの方こそ、あなたの服を脱がせるのに大きなリスクを冒しているのよ。心臓がドキドキしちゃって……

彼女は、過去の経験から等々力辰の警戒心が強く、まだ自分を完全には信用していないことを知っていた。しかし、彼がこのような態度を続けるなら、これからの仕事が難しくなるだろう。

芸能人とマネージャーの間で最も重要なのは信頼関係だ。

等々力辰は何かを思い出したのか、唇を強く噛みしめ、顔から血の気が徐々に失せていった。

彼は机の前の男性を凝視した。その男性は、そのような言葉を口にしながらも、表情は清々しく、瞳には一切の濁りや卑しさがなく、周藤史良が彼を見る時の欲望と貪欲さに満ちた表情とは全く異なっていた……

雨宮由衣は、信頼関係は一朝一夕には築けないことを知っていた。特に等々力辰には深刻な心の傷があるのだから。

等々力辰の顔色が真っ青なのを見て、ついに彼女は無理強いするのを諦めた。「いいわ、あなたは……」

しかし、彼女が「もういい」と言おうとした瞬間、等々力辰が突然立ち上がり、両側の裾を掴んで、少し古びた白いTシャツを脱ぎ始めた。

この行動に雨宮由衣は少し驚いた。等々力辰の男性に対する嫌悪感と拒絶感を考えると、ここまでできるとは思わなかった。

一瞬の戸惑いの後、雨宮由衣は等々力辰の体格を観察し始めた。

服を着ているときはあまり分からなかったが、今脱いでみると、等々力辰は痩せすぎて形相が変わるほどで、肋骨が見えそうなほどだった。肌も長年日光に当たっていないかのように青白かった……

これは武道の先生について半月以上トレーニングした後の結果なのに……

想像以上に悪い状態だった……

雨宮由衣は頭が痛くなり、眉間を摘んだ。確かにカメラは太って見えるとはいえ、痩せすぎるのも良くない。等々力辰は完全に痩せすぎていた。

肌を見せるようなシーンを撮影する場合、この体格では全く使い物にならない!