第375章 遊びに来たわけじゃない

帝都北郊、庄司グループ傘下のある支社にて。

雨宮由衣が到着した時、庄司輝弥は数人の幹部と会議中で、秋山若葉と影流もその中にいた。

全員が厳かな表情を浮かべていた。

雨宮由衣を見た途端、影流の表情が一気に曇った。

他の幹部たちは雨宮由衣に興味津々で、彼女がBOSSの噂の愛人だと推測していたが、好奇心を抑えて規律正しく、余計な視線を送ることもなく、会議に集中していた。

秋山若葉に関しては、雨宮由衣が入室した時に礼儀正しく会釈をしただけで、すぐに平然と報告を続けた。

庄司輝弥のデスクには書類が山積みで、隅のテーブルには弁当が置かれていたが、中身は全く手付かずだった。

この人は持病だらけで、胃も極めて弱いのに、こんなに体を酷使して。

突然の来訪に、庄司輝弥は適当な場所で少し待つよう指示した。

雨宮由衣は動かず、唇を噛んで彼を見つめ、「夕食まだなの?」と尋ねた。

庄司輝弥は彼女がそのことを聞くために来たとは予想していなかったようで、「重要な案件があって」と答えた。

雨宮由衣は顔を曇らせた。あなたの仕事で重要じゃないものなんてあるの?

どんなに重要な案件でも、命より大事なものがあるの?

庄司輝弥は彼女の不機嫌な様子を見て、引き出しからタブレットを取り出して渡し、「少し遊んでいて」と言った。

雨宮由衣は顔を曇らせ、「遊ばないわ!遊びに来たんじゃないもの!」

庄司輝弥がいつものように重要な会議でもこの女性を避けず、機密性の高い場で待たせ、今では皆の前で駄々をこねさせている様子に、影流の表情は爆発寸前まで険しくなっていた。

井上和馬は冷や汗を流しながら、彼の傍らで注意深く見守り、その短気が爆発しないよう警戒していた。

秋山若葉は相変わらず穏やかな表情で、微笑みながら「雨宮さん、怒らないでください。庄司社長は今、私たちと重要な案件を協議中なので、終わりましたらお相手させていただきます」と声をかけた。

雨宮由衣は気遣うような態度を見せる秋山若葉に皮肉げな視線を向けたが、相手にせずにタブレットを持ってソファに座った。

庄司輝弥の会議が一向に終わる気配がなく、雨宮由衣は退屈そうにタブレットでニュースを眺めていた。

その間、スマートフォンが振動し、橋本羽からLINEが届いた。

橋本羽は数枚の写真を送り、どれがかっこいいか尋ねてきた。