すると、等々力辰はその言葉を言い終えると、ゆっくりと立ち上がった。
一歩一歩、南聖の前まで歩み寄り、かつての親友の横に立ち、肩を並べて、遠くの果てしない星空を見上げるかのように——
「教えてやろう。歴史は常に勝者によって書かれるのだ!」
「これからは、この浮世で、私が正しいと言えば正しく、邪悪だと言えば邪悪となる!」
等々力辰がこの言葉を発する時、南聖の演技のような狂気じみた傲慢さはなく、むしろ何気ない口調で、まるで極めて平凡なことを語るかのように、その声は死んだように静かな寒潭のようだった。
その言葉を言い終えると、彼はゆっくりと歩き出し、南聖とすれ違った。
かつて共に道を論じ、剣を舞った兄弟が、ここに完全に別れを告げ、まったく異なる道を歩むことになる……
しばらくの間、その場は針が落ちても聞こえるほどの静けさが続いた。
ライブ配信のコメントさえも止まっていた。
「私の演技は以上です。」
等々力辰が振り向いて監督とプロデューサーに向かって頭を下げると、やっとみんなが物語から我に返った。
席上で、それまで動かなかった蘇我隆治の表情に明らかな興奮の色が浮かび、等々力辰を見つめ、まるで信じられないといった様子だった。
南聖本人さえも恍惚とした表情で、顔色が少し青ざめていた。
彼は先ほど等々力辰の演技に完全に引き込まれていたので、誰よりも直接的な感覚を味わっていた。
さっきまで、自分が西風大河になったかのような錯覚に陥りそうだった……
先ほどまでほぼ止まっていたコメントが、今や狂ったように流れ始めた——
[す、すげえ!やばい!まさに林楽天が憑依したみたいだ!]
[林楽天の憑依どころか、これは完全に林楽天本人だよ!南聖の演技も完璧だと思ってたのに!等々力辰を見て初めて分かった、本物の存在感ってこういうものなんだって!]
[南聖の演技は確かに完璧だった。彼が素晴らしい俳優だってことは知ってる。でも等々力辰は、演技が上手いとかそういう次元じゃない。彼は完全にストーリーに没入してる。だって彼がストーリーの中の人物そのもの、彼が林楽天なんだから!]
[これぞまさに本人と役者の違いだよ!さっきまで南聖が林楽天だったのに、一瞬で等々力辰に引き込まれて西風大河になっちゃった!]