原作ファンもそうでない人も、林宗央の名前は権威を意味していた。
蘇我隆治がその言葉を口にした時、全員が等々力辰を見る目がより一層異様なものとなった。
[すごい!さすが原作版!理解が深いね!林宗央先生の意図まで完璧に読み取っている!]
[オーディション過程を公開してくれた制作陣に感謝!私たちの心の中の林楽天が帰ってくるところを目撃できて!]
[林楽天役は等々力辰しかいない!]
……
コメントが画面上を狂ったように流れるのを見て、吉田正の顔は青ざめていた。
本来なら南聖の宣伝をするつもりだったし、事後の記事まで用意していたのに、まさか他人の花嫁衣装を作ることになるとは。あの小僧に頭を踏まれる形になってしまった。
しかも生放送を選んでしまい、全過程がリアルタイムで配信されているため、後から世論を変えたり、三好社長に頼んで結果を変更したりすることも不可能だ!