錦園。
夕暮れ時、そよ風が漂い、小さな庭園には白菜、ワスレグサ、ヒマワリの香りが漂っていた。
木陰の丸テーブルの傍で、庄司輝弥は人参茶を手に持ち、足元には艶やかな白虎が横たわっていた。
この時、丸テーブルの傍にもう一人座っていた。その人物は庄司輝弥と少し似た顔立ちで、白地に金の縁取りがある古風なスーツを着て、高貴な雰囲気を漂わせながら、退屈そうに頭を支えて待っていた。「叔母さんはまだ帰って来ないの?」
「用事か?」庄司輝弥は冷ややかな表情で尋ねた。
「叔母さんに用があるんだ。お前に用があるわけじゃない!」
庄司夏は言いながら、目を輝かせ、続けて言った。「そういえば...叔母さんがまた新しいタレントを獲得したって聞いたよ。しかも彼らの事務所の看板スター、人気イケメンだとか...意外だね、叔母さんって結構やるじゃないか!」
庄司輝弥はそれを聞いて、茶碗を持つ指が僅かに止まっただけで、その深く冷たい瞳からは何の感情も読み取れなかった。
庄司輝弥が反応を示さないのを見て、庄司夏は当然不満げに、しみじみと言った。「ふん、意外だな。叔父さんが本当に叔母さんを外に出すのを許すなんて。次々と男性タレントを取り込むのも許すなんて、頭上に草が生えるのが怖くないのか?
芸能界にはイケメンがたくさんいて、目が眩むほどだ!叔母さんは若いんだから、当然同じ年頃の若い人の方が好きになるだろう。叔父さん、自信過剰は良くないよ...」
庄司輝弥はまだ何の反応も示さなかったが、傍らの井上和馬はここまで聞いて、顔色が一気に曇った。
この庄司夏少爷というのも、まったく物事を荒立てるのが好きなのか。当主と由衣様の関係がやっと少し良くなってきたというのに、来るなり当主の前でデタラメを言い散らす。
本当に見舞いに来たのか、それとも人を怒らせに来たのか?
当主の今の体調では、こんな刺激に耐えられるはずがない...
しかし残念ながら、庄司輝弥の本当の病状を明かすことはできず、ただ「庄司夏様、誤解されています。由衣様は男装で活動されているのです!」と言うしかなかった。
庄司夏はそれを聞いて、すぐに冷笑した。「男装がどうした?最後には男も女も一緒に連れ込むんじゃないのか~」