第549話 運が良すぎる

緊張して議論し結果を待つ人々に比べ、傍らの雨宮由衣はこっそり欠伸をし、明らかに退屈そうな表情を浮かべていた。

このような展開が分かっている感覚は、まるで推理ドラマを見ながら犯人が誰か知っているようなものだった。

はぁ、人生って本当につまらないものね……

案の定、司会者は緊張感を演出しようと、くだらない話を長々とした後、受賞者の名前を発表した——「おめでとうございます、林夏音さん!」

助演女優賞の発表後、橋本羽と新津香織の表情は明らかに一瞬固まり、思わず雨宮由衣の方を見やった。

橋本羽は眉を少し上げ、「三つ的中したね……」

長々とした各種の小さな賞の後、ついに、注目の主演男優女優賞の対決の時間となった。

「感動の瞬間が訪れました。これから発表するのは、今夜の主演男優賞の受賞者です!」

壇上の司会者の興奮した声を聞きながら、雨宮由衣はほとんど眠りそうになっていた。

「眠いの?」橋本羽はその様子を見て尋ねた。

雨宮由衣は軽く肩をすくめ、「答えが分かってるからね、当然退屈よ」

「もう、君ったら……」橋本羽は冗談だと思い、呆れて首を振った。

しかし、雨宮由衣の言葉が終わるや否や、壇上の司会者はついに引っ張りを終え、主演男優賞の受賞者を発表した——「今夜、金蘭賞主演男優賞の受賞者は……『山河なお在り』の里村忠義さんです!」

会場中が拍手喝采に包まれた。

橋本羽も思わず感嘆した、「君の運も凄いね、五つの大賞のうち、四つも当てたんだから!」

そうね……

もうすぐ五つ目の、今回の金蘭賞最大の波乱も的中することになるわ……

新津香織は笑って言った、「私まで急に期待してきちゃった、まさか本当に主演女優賞を取れるのかしら?」

前の席の菊池美桜は後ろの三人の会話を聞いて、とても皮肉っぽく呟いた、「ふん、厚かましい人もいるものね!新津香織さん、この浮世の詐欺師を信じるくらいなら、ネットユーザーの声を信じた方がいいわよ。あなたは芸能界で主演女優賞を取る可能性が最も低い女優ランキングNo.1なんだから!」

今回菊池美桜もノミネートされており、受賞の声も高かった。彼女と新津香織は似たような役柄を演じ、しかも対立する事務所に所属していたため、普段から絶えず対立していた。今回菊池美桜は当然、この機会を逃さず新津香織を徹底的に貶めようとしていた。