025 新属性

レイチェルの頑固さは、ロジャーの予想を超えていた。

シンディが何度も止めても、彼女は起き上がろうとした。

両者は暫く睨み合った。

最後は竜人祭司が彼女を支えて外に出た。

レイチェルが裸足で、シンディに支えられながら必死に歩く姿を見て、ロジャーは少し申し訳なく感じた。

しかし、レイチェルの言う通りだと彼は分かっていた。この戦いは彼とは無関係だ。

理性的に考えれば。

巻き込まれる理由は何一つない。

早めに立ち去るのが正解だ。

……

飛竜獣はそれほど遠くには行っていなかった。

特にレイチェルが言うミサスは、竜牙村の中央にある大きな榕樹の梢に横たわっていた。

レイチェルの呼び声を聞くと、体長三メートルの竜獣は喜びの声を上げた。

彼女は翼を力強く羽ばたかせ、涼しい風を巻き起こしながらレイチェルの前に降り立った。

他の飛竜獣も集まってきた。

しかし、彼らはミサスのようにレイチェルに親しげに近づく勇気はなかった。

「彼らの傷は…」

その時、レイチェルは驚いたことに、腹部に矢を受けた数匹の飛竜獣の傷口が完璧に包帯で処置されているのを発見した。

「誰が手当てしたの?」と彼女は尋ねた。

シンディは不承不承とロジャーの方を顎でしゃくった。

ロジャーは軽く頷いた:

「些細なことです。」

レイチェルは目を見開いた。

これはロジャーが彼女の顔に見た中で最も豊かな表情だった:

「どうして可能なの?彼らはどうしてあなたを近づかせたの?」

ロジャーは自然に説明した:

「動物との意思疎通の技を少し心得ているんです。」

実際のところ。

彼の「動物使い」は49ポイントあり、負傷した飛竜獣との基本的なコミュニケーションと慰撫は十分可能だった。

傷の手当ては当然難しくなかった。

このスキルを使えば、ロジャーは一匹か二匹の動物を戦闘パートナーとして飼いならすことができた。

ただ、適切な相手がまだ見つかっていなかっただけだ。

桐麻町では、魔爆蛙か赤潮ゾンビのような不死者ばかりと向き合っていた。

まさか蛙を二匹も連れて歩くわけにはいかないだろう?

あまりにも様にならない。

そして、レイチェルの飛竜獣のような存在は、ロジャーが実は好ましく思っていた。

しかし、飛竜獣は数世代退化した亜竜種とはいえ、普通の人間が手に入れられるものではないことも彼は十分理解していた。

それには非常に大きな機縁が必要だ。

そして飛竜獣は群れで生活する生き物で、一度飼いならすと大抵は群れごとになる。

そうなると毎朝目が覚めた時、この鳴き声の喧しい連中の餌が最大の問題となる。

だからこそレイチェルは定期的に飛竜獣たちを連れて沼地の奥深くまで餌を探しに行かなければならなかった。

そしてロジャーにとって、このプロセス自体が危険に満ちていた。

神秘的で広大な沼地では、ハンターと獲物の立場がいつでも入れ替わる可能性があった。

……

医療小屋の外の空き地で。

レイチェルはミサスの長い首を優しく撫で、その耳元で何かを囁いた。

飛竜獣に向かう時の彼女の優しい姿は実に心地よい光景だった。

無表情だった表情さえも豊かになっていた。

「ミサスと話がついたわ。」

「彼女が同意してくれた。」

「ここからパラモンまで片道2日かかるけど、準備はできた?」

最後に、レイチェルはミサスの背中を軽く叩き、ロジャーの方を見た。

彼女の蒼白い唇色から見ると、この頑固な小柄な少女はもう限界に近かった。

「私は大丈夫です。」

ロジャーは前に出て、大小の荷物をミサスの両脇に均等に掛けた。

後者は少し不快そうに抵抗したが。

レイチェルの宥めで、しぶしぶ諦めた。

「乗って。」

レイチェルの促しに従い、ロジャーは竜獣に跨った。

「小屋に止血軟膏を置いておきました。今後何かの役に立つかもしれません。」

出発前に、彼はシンディにそう告げた。

シンディは複雑な眼差しで頷いた:

「ご無事で。」

「行きなさい、ミサス、早く帰ってきてね!」

レイチェルはミサスの手綱を放した。

ゴォォォ!

飛竜獣は巨大な翼を羽ばたかせ、地上に強い風を巻き起こしながら、ロジャーを乗せて急速に上昇した。

周囲の景色が下方へと後退していく。

視界が極めて広大になった。

すぐにロジャーはこの目が回るような感覚に慣れた。

ミサスは大榕樹の周りを二周した。

そして名残惜しそうに南へと飛び立った。

……

「彼女たちにも幸運を。」

ミサスの背に安定して座りながら、ロジャーは心の中で静かに祈った。

この数日で、彼は竜牙村に好感を持つようになっていた。

だからこそ彼はあの軟膏を残し、彼女たちが困難を乗り越えられることを願った。

エリックから聞いた話では、村にはアンジェリカという老婆以外に医者はいないという。

もし本当に戦争が起これば、これらの軟膏は必ず役立つはずだ。

これがロジャーにできる唯一のことだった。

耳元で風が鳴り続ける。

ミサスは徐々に飛行高度を下げていった。

これは正常な現象だ。

飛竜獣はドレイクにも及ばない。

持久力の不足を補うため、飛行時には主に滑空モードを採用している。

今は日没時で、沼地には既に濃い霧が立ち込めていた。

ミサスは素早く飛んでいた。

瞬く間に黃石島を飛び出した。

ロジャーが沼地の夕日の美しい景色を楽しんでいると。

突然、何とも言えない警戒感が心に湧き上がった。

ビュッ!

勢いの強い弩矢が彼の耳をかすめて飛び、空高く突き刺さり、2、3秒後に力なく落下した。

ロジャーが素早く身を屈めなければ、この一矢は彼の太陽穴を直撃していたかもしれない!

股下のミサスは鋭い鳴き声を上げた。

彼女の感情は非常に不安定で、激怒しているようでもあり、恐怖を感じているようでもあった。

シュシュシュ!

また数本の弩矢が下方から射てきた。

ミサスは何とか避けたものの、もう前に進む勇気はなく、ただ高度を上げながらその場を旋回するだけだった。

「灰色ドワーフか?」

ロジャーは目を細めた。

望氣術の助けを借りて、やっと大木の枝に潜んで自分に向かって射撃を行う者たちの姿が見えた。

……

「沼地の灰色ドワーフ LV12 生命力200 防禦力9 」

「特性I:粗い石肌レベル3」

「粗い石肌:沼地の灰色ドワーフの皮膚は非常に粗く、その大部分が岩石に近い硬度を持つ表皮で覆われている。これにより彼らは極めて強い耐性を持ち、特に物理ダメージに対して効果的である」

「特性II:弩術の心得レベル1」

「弩術の心得:灰色ドワーフは常に武器の鍛造と実用に長けており、中でも弩が最も得意である。彼らはこの遠距離武器を熟練して使用でき、空中の標的に対する命中率が+2される」

……

「魔力による異形の力がこれほど深刻なのか?」

「もはや知恵級の種族とは言えないだろう?」

これらの沼地の灰色ドワーフがロジャーに見せた最も衝撃的な部分は、その属性ではなく、恐ろしい体つきと容貌だった!

灰色ドワーフの顔や首には、それぞれ拳大の肉瘤が生えていた。

これらの肉瘤からは腐敗した魔力の匂いが漂っていた。

肥大化した肉瘤に比べて。

彼らの顔は骨が透けて見えるほど痩せこけ、突き出た眼窩と頬骨は髑髏を思わせた。

ロジャーは彼らの目に一片の理性も見出せなかった。

試しに罪の印を投げかけてみた。

結果は判定成功を示した。

これは侠隠の型において、これらの灰色ドワーフがもはや知恵級の生物とは見なされないことを意味する。

魔物の領域に属するものなのだ!

「ミサス、いい子だ、もう少し低く飛んで、怖がらないで。」

ロジャーは飛竜獣を宥めながら、紫の絡みを取り出した。

これらの灰色ドワーフが使用しているのはクロスボウで、射擊速度が速く威力が大きい利点があるが、射程はやや短い。

飛竜獣がもっと高く飛べるのなら、彼らの妨害など完全に無視できたのだが。

しかし今はそうもいかない。

彼らを始末しなければならない。

ロジャーの慰撫の下、ミサスは高度を下げ、灰色ドワーフの散発的な数回の射撃をかわした。

ロジャーは機を見て、一矢を放った。

呼嘯する矢は沼地の霧を切り裂いた。

直接、一人の灰色ドワーフの眼窩を貫いた!

「運が良かったな。」

ロジャーは一息ついた。沢地に入って以来、彼の弓術は少し上達していた。

彼はこれらの灰色ドワーフを倒してから出発しようと考えた。レイチェルの仇も討てることになる。

しかしその時。

データ欄が静かに更新された。

……

「沼地の灰色ドワーフを1体倒した」

「10XPを獲得した」

「あなたの'耐久値'が微かに上昇した」

……

「なに、耐久値?」

ロジャーの灰色ドワーフを見る目が一瞬で変わった。

……