真っ暗な洞口を見つめて。
ロジャーは思わず眉をひそめた。
この突然の声に、彼は少なからず警戒心を抱いた。
相手が敵か味方か分からない状況で、むやみに洞窟に入るのは危険だ。もし機巧術で閉じ込められたらどうする?
そこで彼は機転を利かせ、洞口に向かって叫んだ:
「洞口が狭すぎます。」
「私には入れません!」
彼の声は洞窟の中で長く響き渡った。
しばらくして、向こうから「ああ」という声が返ってきた。
その後、洞窟から微かな振動音が聞こえてきた。
ロジャーは好奇心に駆られて覗き込んだ。
間もなく、錆びだらけの構装体が洞窟から這い出てきた。
正直なところ、ロジャーはこれほど「太った」構装体を見たことがなかった。
その四肢は異常に短く、胴体は太く、まるで球体と言っても過言ではなかった。
構装体の外装は時の流れと風化で傷んでいた。
無数の凹凸が残るばかりだった。
洞窟を這い出る様子は非常に苦しそうで、まるで風前の灯火のような老人のようだった。
その姿を見て。
ロジャーの心に少しばかりの罪悪感が芽生えた。
「あれ?」
「お客様は八さんより太っているのですか?」
構装体はふらふらと立ち上がり、ロジャーを見ながら、疑問に満ちた声で言った。
突然。
その左足がぱらりと銀色の粉となって崩れ落ちた。
構装体はその場に倒れ込み、右足も動かなくなってしまった。
「申し訳ありません……お客様の前で失礼な姿を。」
その声には言いようのない後悔の色が滲んでいた。
しかしすぐに、明るい声色に変わった:
「これも良いでしょう。お客様は私を転がして中に入れてくださればいい。手間が省けます。」
ロジャーは暫く黙っていた。
この構装体の声と反応は、前世の幼い頃の友人を思い出させた。
彼は歩み寄って優しく構装体を支え起こした:
「大丈夫ですか?」
「大丈夫?もちろん大丈夫です。八さんは構装体ですから、何も問題ありません。」
「あらやや、大変失礼しました!自己紹介を忘れていました。」
構装体は厳かに言った:
「私は八さんと申します。清泉宗の「教授長老」です。」