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「先手必勝(2環特技):戦闘ごとに、最初の三回の攻撃は必ず回避不能となる」
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「すごい!」
「『先手必勝』と『十年一劍』を組み合わせれば、最初の三撃は無敵じゃないか?」
ロジャーは心の中で安心感が増した。
以前は十九月の華で命中率を上げられたが、それは赤月刀に限定されていた。
今回新たに獲得した特技は、全ての武器で回避不能になるのだ!
百パーセントの命中率に加えて、パーセンテージでの威力上昇。
この方向性で考えると、最初の三撃の屬性を極限まで高めればいいのだろうか?
ロジャーは考え込んだ。
すぐにこの極端な成長路線を否定した。
最初の三撃で倒すというのも一つの戦略だが、全ての卵を最初の三つのかごに入れるわけにはいかない。
回避できなくても、敵はパリィできる。
パリィが失敗しても、敵は防禦力と体力を上げることで対抗できる。
もし防禦力が高く体力の厚い相手が最初の三撃を耐えきったら?
そう考えると。
ロジャーは先ほど一瞬浮かんだ「俺は天下無敵だ」という不埒な考えを払拭した。
「調子に乗るな」
「ちょっと強くなっただけだ」
彼は深呼吸を何度かして、冷静さを取り戻した。
「先手必勝」は白鴉の冠に付随する特技だ。
そしてこの珍品には他の屬性も付与されている。
……
「白鴉の冠(珍品)」
「特技:先手必勝」
「加算値:洞察力+60」
「特殊効果:白鴉の冠の主として、気の流れを感知することができ、気の習得に大きな助けとなる」
……
白鴉の冠が付与する「洞察力+60」により、ロジャーは日常生活や冒険での隠された情報をより良く見分けることができるようになった。
特殊効果についても言うまでもない。
この数日間、ロジャーは自分の体内を流れる'気'の軌跡を徐々に感じ取れるようになっていた。
きっと近いうちに、彼は'気'を早期に習得できるだろう。
この点だけでも白鴉の冠は珍品の名に恥じない。
さらに注目すべきは。
白鴉の冠はロジャーにこれらの屬性を付与しているが、常に装着している必要はない。
実際、ロジャーは毎日10分間この珍品と「気命共鳴」を行うだけでよい。