045 自殺の腕輪

……

「先手必勝(2環特技):戦闘ごとに、最初の三回の攻撃は必ず回避不能となる」

……

「すごい!」

「『先手必勝』と『十年一劍』を組み合わせれば、最初の三撃は無敵じゃないか?」

ロジャーは心の中で安心感が増した。

以前は十九月の華で命中率を上げられたが、それは赤月刀に限定されていた。

今回新たに獲得した特技は、全ての武器で回避不能になるのだ!

百パーセントの命中率に加えて、パーセンテージでの威力上昇。

この方向性で考えると、最初の三撃の屬性を極限まで高めればいいのだろうか?

ロジャーは考え込んだ。

すぐにこの極端な成長路線を否定した。

最初の三撃で倒すというのも一つの戦略だが、全ての卵を最初の三つのかごに入れるわけにはいかない。

回避できなくても、敵はパリィできる。

パリィが失敗しても、敵は防禦力と体力を上げることで対抗できる。

もし防禦力が高く体力の厚い相手が最初の三撃を耐えきったら?

そう考えると。

ロジャーは先ほど一瞬浮かんだ「俺は天下無敵だ」という不埒な考えを払拭した。

「調子に乗るな」

「ちょっと強くなっただけだ」

彼は深呼吸を何度かして、冷静さを取り戻した。

「先手必勝」は白鴉の冠に付随する特技だ。

そしてこの珍品には他の屬性も付与されている。

……

「白鴉の冠(珍品)」

「特技:先手必勝」

「加算値:洞察力+60」

「特殊効果:白鴉の冠の主として、気の流れを感知することができ、気の習得に大きな助けとなる」

……

白鴉の冠が付与する「洞察力+60」により、ロジャーは日常生活や冒険での隠された情報をより良く見分けることができるようになった。

特殊効果についても言うまでもない。

この数日間、ロジャーは自分の体内を流れる'気'の軌跡を徐々に感じ取れるようになっていた。

きっと近いうちに、彼は'気'を早期に習得できるだろう。

この点だけでも白鴉の冠は珍品の名に恥じない。

さらに注目すべきは。

白鴉の冠はロジャーにこれらの屬性を付与しているが、常に装着している必要はない。

実際、ロジャーは毎日10分間この珍品と「気命共鳴」を行うだけでよい。

それ以外の時間は、どんな帽子を被っていても構わない。

屬性の獲得には影響しない。

この観点から見ると。

白鴉の冠は確かに稀少な優れた裝備といえる。

……

白鴉の冠の件を片付けた後。

ロジャーは最後に道場内を一周歩き回り、荷物を持ってここを去った。

この別れは、おそらく永遠の別れになるだろう。

ロジャーは道場の位置を慎重に記憶した。

いつか十分な構装体の知識と材料を手に入れたら。

八さんを再起動させようと試みるつもりだ。

……

清泉宗道場を離れ、ロジャーは桑奇の小屋へと直行した。

これほど多くの日々彼女を苦しめてきたが、そろそろ終わりにする時だ。

桑奇を通じて、ロジャーはハンターズマークの広範な応用可能性を確認できた。

ハンターズマークを通じて、彼は桑奇の具体的な位置だけでなく、心身の状態まで把握できた!

データによると。

桑奇の状態は底まで落ち込んでいた。

彼女の苦痛を終わらせる時が来た。

実際、桑奇がここまで追い詰められたのは確かにハンターズマークの影響だが。

ロジャーの後押しも大きな役割を果たした。

5日目にマークを消して桑奇に誤判断させた策略はさておき。

7日目の夜。

ロジャーは地底イボイノシシを捕まえて桑奇の小屋に突っ込ませた。

ホブゴブリンたちは油断して止められなかった。

そのイボイノシシはすぐに複数の魔法トラップを踏み抜き、ついでに小屋の柵も破壊した。

ハンターズマークのフィードバックから、そのイボイノシシに桑奇が魂を抜かれたことは明らかだった。

イボイノシシが壁に突っ込んだとき、彼女はおそらくロジャーが襲撃に来たと勘違いしたのだろう。

そして9日目の昼間。

ロジャーは同じ手を使った。

今回は、苦しめられている桑奇に小隊のサイホーンビーストを贈り物として送った。

ホブゴブリンたちは学習していて、驚いた状態のサイホーンビーストを事前に止めることができた。

しかしその巨大な騒音は、それでも桑奇を震え上がらせるのに十分だった。

ロジャーはよく分かっていた。

未知なるものこそが最大の恐怖だと。

この11日間で、桑奇だけでなく、小屋の外のホブゴブリンの兄貴たちまでも元気をなくしていた。

……

漆黒の小湖に沿って。

ロジャーは暗影斗篷を着用し、そっと塀の外に到着した。

ホブゴブリンたちはこれに気付いていない。

前回の二度の魔物の襲撃で、ロジャーは桑奇の小屋周辺の魔法トラップの位置を完全に把握していた。

桑奇の現状では、新たにトラップを設置することは不可能だろう。

これがロジャーに隙を与えた。

彼は敏捷に塀を飛び越え、屋根に上り、そして煙突を伝って台所に忍び込んだ。

小屋の中は静かだった。

至る所に不気味な匂いを放つ瓶や壺が散らばっていた。

ロジャーは望氣術を使って明らかな機巧術を避けながら、桑奇の寝室の外まで忍び寄った。

この時、寝室のドアは開いており、隙間から桑奇が眠っているのが見えた。

ロジャーはしばらく様子を窺ったが、異常は見当たらなかった。

彼はそっとドアを押し開け、近づいていった。

突然。

強烈な魔法の波動が空気中で爆発した。

冷たい気配がロジャーの足元から伝わり、瞬く間にその冷気が彼の全身を包み込んだ!

寝室のベッドで。

充血した目をした桑奇が飛び起きた。

彼女は「氷結術」の巻物を投げ捨て、布団の下に隠していた魔法杖を取り出し、ロジャーに向けた。

しかしその時、彼女は自分の認識を完全に粉砕する光景を目にした:

濃密な氷のエレメントがロジャーの肌表面に大量に付着し、薄い白い霧を形成している。

しかしロジャーの体表には薄い氷の層すら形成されていなかった!

氷結術が失敗した!

「こ...これは...ありえない...」

桑奇は取り乱して魔法杖を振り回した。

次の瞬間、青銅の剣が容易に彼女の心臓を貫いた。

……

「あなたは桑奇(地底人の魔女/エリート)を倒した」

「29ポイントのXPを獲得した」

「4ポイントの義侠値を獲得した」

「誅殺令の報酬を受け取っています……」

「桑奇から特技『藥劑マスター』を獲得した」

……

青銅の剣を引き抜き、ロジャーはほっと息をついた。

先ほどの桑奇の反応は彼の予想通りだった。

追い詰められたウサギでも噛みつくことがある、まして魔法使いならなおさらだ。

ロジャーはいつでも獲物を軽視することはない。

相手が完全に死亡するまで。

そう、復活できないような死に方で。

……

データ欄を一瞥すると、ロジャーは桑奇から得た特技がなかなか良いものだと気付いた。

……

「藥劑マスター(2環特技):基本ポーションの調合時にはほぼ失敗することがなく、高レベルポーションの調合においても、より高い成功率を得られる」

……

戦闘系の特技ではないが、ロジャーの薬剤師としての立場を考えると、かなり役立つだろう。

寝室での戦闘は外のホブゴブリンたちの注意を引かなかった。

ロジャーはついでに戰利品の確認をした。

桑奇の身体と寝室から、いくつかの魔法の巻物と魔法アイテムを見つけた。

その中で最も彼の注意を引いたのは、精巧な銀白色の腕輪だった。

望氣術によると。

それは「自殺の腕輪」と呼ばれるものだった。

……