類地精生物の中でも優れた存在として。
ホブゴブリンはゴブリンを遥かに超える体格と頑丈な体つきを持っている。
彼らの爪は鋭く、ほとんどの獲物の内臓を素手で引き裂くことができる。
体が大きいため、一見すると不器用そうに見える。
しかし実際は非常に機敏だ。
低ランクの魔物の中で、ホブゴブリンは間違いなく強者の一人と言える。
普通の冒険者が一対一で戦っても、ホブゴブリンには勝てないかもしれない。
まして今、魔女サンジの家の外には六体ものホブゴブリンが待機している。
ロジャーは悪意を込めて、家の中にも一、二体いるのではないかと疑っていた。
だから、軽率な行動は絶対に避けなければならない。
狩りにおいて、忍耐は最も重要なものだ。
ロジャーはサンジが必ず家から出てくると信じていた。
案の定、その日の夕方になると、小屋から動きがあった。
魔女サンジが扉から出てきて、急ぎ足で白月城の方向へ向かった。
出発前に、彼女は四体のホブゴブリンをボディガードとして連れていった。
二体を家の見張り番として残した。
サンジの去っていく背中を見て、ロジャーは少し考えてから後を追った。
……
サンジとホブゴブリンたちの足取りは速く、あっという間に遠くまで行ってしまった。
「この方向は確かに白月城に向かっているな。」
「サンジは灰色ドワーフと繋がりがあるのか?」
シャドウマントの陰に隠れながら、ロジャーは適度な距離を保って後をつけた。
しばらくすると。
サンジ一行は灰色ドワーフの哨戒所を通過した。
灰色ドワーフたちは警戒した様子を見せたが、最終的に彼女を通してやった。
ただし、この過程で少々もめ事があった。
灰色ドワーフは自分たちの街にホブゴブリンを入れたくないようだったが、サンジは従者を連れていくことを主張した。
双方で口論になった。
最終的にサンジが勝利を収めた。
ホブゴブリンの逞しい胸板の前で、灰色ドワーフたちは折れることを選んだ。
ロジャーはサンジを白月城の郊外まで尾行した。
広々とした台地で、サンジは月の谷色の長衣を着た灰色ドワーフと出会った。
この長衣にロジャーは見覚えがあった。