059 魔物狩り

人気のない農場。

初秋の月明かりは、すでに二三分の寒気を帯びていた。

孤独な木造の小屋の外。

二人の背丈ほどの塀に、いつの間にか穴が開けられていた。

台所への裏口に。

濡れそぼった人型の生き物が木の扉にぴったりと張り付き、異様な動きで体をよじっていた。

その不規則な動きに合わせて、木の扉からは歯がゆい音が立てられていた。

……

「水魔 LV22 生命力190 防禦力11 弱土」

「特性I:無限の力」

「無限の力:水魔の力は通常16ポイントを下回ることはなく、捕まえた生物は逃げ出すことが困難」

「特性II:屍毒」

「屍毒:水魔の爪、歯、体液には屍毒が含まれており、屍毒は極めて強い感染力を持ち、感染者は一定の確率で水魔に変異する」

……

「土の元素に弱い魔物か、珍しいな」

塀の外のブナの木の上で。

ロジャーは欠伸をしながら赤月刃を取り出した。

深夜に魔物が訪れるのは珍しいことではない。結局のところ、半キロ先にはセラ川の支流があるのだから。

水魔の特性は多くの人々を震え上がらせるに十分だ。

しかしロジャーにとっては、一刀の仕事に過ぎない。

だが彼が動こうとした瞬間、望氣術の視界に凄まじい赤色が現れた!

セラ川支流の方向から。

よろめきながら三つの人影が近づいてきた。

ロジャーの表情が僅かに変化した。

新たに現れた三体の水魔の中に、なんとLV28のエリートモンスターがいた。

油断はできない。

彼は気を引き締め、赤月刃を握りしめ、軽く跳んだ。

体は安定して丸太の塀の上に着地した。

彼の足取りは軽快で、塀に沿って巧みに前進した。

遠くない場所で。

酔っ払いのような三体の水魔がロジャーを発見した!

突然。

水魔たちの移動速度が大幅に上昇した!

彼らはロジャーに向かって突進し、口から異様な叫び声を上げた。

ロジャーは動じることなく、依然として自分のペースを保ちながら、塀の上を素早く移動し続けた。

しばらくすると。

三体の水魔の間に距離が開いた——

そのエリートモンスターが最も速かった!

塀の端に到達すると、怒りに任せて一掴みし、頑丈な丸太に欠けた跡をつけた!

ロジャーはその勢いに乗じて跳び、安定して地面に着地した。

次の瞬間。

彼は突然赤月刃を抜いた!

冷たい月光が、その猩紅の影に幽玄な色彩を添えた。

斬瞳の特技が静かに発動した。

精鋭水鬼の反応は遅くなかった。ロジャーが着地して刀を抜いた瞬間には、すでに振り向いて、ロジャーに向かって激しい咆哮を放った!

しかしロジャーの速度の方が上回っていた!

月を踏む歩みと雲梯術の二重の加護の下、彼は瞬く間に水魔の前に迫った!

彼の姿が僅かに止まった。

精鋭水鬼が飛びかかってきた。

電光石火の間。

泥と水藻に覆われた爪がロジャーの頭皮に触れそうになった。

「今だ!」

わざと隙を見せたロジャーは、頭を下げ、身を屈め、加速して、精鋭水鬼の背後に回り込んだ。

そして彼は急激に跳躍した。

昇級。

十九月の華。

第六式。

三段斬り!

刀光の届いた場所で、精鋭水鬼の体はガラスのように砕け散った!

頭部、胸部、腰部、下肢。

四つの断片が舞い散るように地面に落ちた。

この時になって。

ロジャーはようやく吐き気を催すような腐臭を嗅ぎ取った。

……

「あなたのレベルがLV20に上昇しました」

「あなたの属性が上昇しました」

「フリーステータスポイントを1獲得しました」

「新しい特技-氣力綿長を獲得しました」

「氣力綿長:非戦闘時、あなたの体力消費が40%減少します。戦闘中は、体力消費が10%減少します」

……

「水魔(エリート)を1体倒しました」

「45XPを獲得しました」

「誅殺令の報酬を取得中……」

「誅殺令の報酬取得に失敗しました」

……

エリートモンスターということを考慮し、誅殺令と罪の印が重複できない状況で、ロジャーは前者を選択した。

しかし収穫は期待はずれだった。

だが今のロジャーには細かいことを考えている余裕はなかった。

残りの二体の水魔が包囲してきた。

ロジャーは赤月刃を握りしめ、自分の木造の小屋に向かって素早く動いた。

足先で軽く踏み込むと、再び塀の上に跳び上がった。

夜風が吹き寄せた。

濃厚な腐臭を運んでくる。

ロジャーは目を上げた。

望氣術の視界に、凄まじい赤色の血雲がゆっくりと移動してきた。

月明かりの下の川辺で。

一体また一体の濡れそぼった影が静かに岸に這い上がり、音もなく近づいてきた。

ロジャーが大まかに数えただけでも、二十体以上はいた!

「さすがに極端すぎるだろ!」

彼は素早く背中から紫の絡みを取り外し、矢筒の重さを確かめ、聖水を塗った白羽の矢がまだ十分にあることを確認した。

「幸い戦闘の準備は万全だ」

次の瞬間、彼は弓を引き、塀の中に向かって一矢放った!

矢は心臓を貫いた。

台所に寄りかかっていた水魔は音もなく命を落とした。

……

「水魔を1体倒しました」

「30XPを獲得しました」

「あなたの肝臓代謝能力が微かに上昇しました」

……

水魔から得られる属性は平凡だった。

少なくとも、そこまで突飛なものではない。

「しかし、肝臓代謝能力が最大になるとどうなるんだろう?」

ロジャーは突然好奇心を覚えた。

そのとき、データ欄に新たな情報が数行流れた。

……

「累計魔物討伐種類が100を超え、新しいマイルストーン-魔物專門家を獲得しました」

「マイルストーンポイントを1獲得しました」

「魔物專門家:あなたは魔物への対処に豊富な経験を持っています。狩猟、調理、その他の面でも同様です」

「対応する称号:魔物狩り(あなたは魔物の異臭を嗅ぎ分けることができます)」

……

「この称号は……まあまあだな」

ロジャーは少し躊躇した後、一時的に交換を見送ることにした。

魔物に対する時、魔物狩りが提供する嗅覚強化は望氣術よりも鋭敏かもしれない。

しかし彼はまだマイルストーンポイントを貯めて早起き鳥の券を購入したいと考えていた。

考えている間に。

塀の外の水魔はますます集まってきていた。

ロジャーは油断せず、塀の上を小走りし始めた。

一定の距離を取ってから、再び弓を引き、水魔たちの心臓を狙って、魔物を的確に仕留めていった!

シュッシュッシュッ!

白羽の矢が次々と放たれた。

塀の掩護を利用して、ロジャーは水魔たちとゲリラ戦を展開した。

彼の身のこなしは軽やかで、塀の上を行ったり来たりするだけで、一定の間合いを保つことができた。

そして時間の経過とともに、彼の命中率も徐々に上昇していった。

矢筒の4束の矢を一気に使い切った。

空の端にかすかな白光が差し始めていた。

塀の外には、まばらに咆哮を上げる水魔が数体残るだけとなった。

倒された水魔たちは腐った泥となり、強烈な腐臭も風の中で次第に消えていった。

ロジャーは深くため息をついた。

そして素早く塀から飛び降り、残りの魔物を全て斬り殺した。

……

この夜。

ロジャーの手にかかった水魔は40体を超えた。

これは非常に恐ろしい数字だった。

農場の前の所有者スミスの話によると、彼は生涯で水魔を2体しか倒していないという。

セラ川流域には水魔が出没するとはいえ、このような大規模な侵入は、明らかに常識を逸脱している!

ロジャーの最初の反応は、スミスが農場に何か仕掛けたのではないかということだった。

そこで翌日の午前中。

彼は望氣術を使って農場を隅々まで探し回った。

しかし何も見つからなかった。

昼頃。

馬に乗った巡回兵が慌ただしく農場にやって来た。

それはとても美しい若者で、面頬を外すと、その顔には血痕があった。

……

「ロジャーさん」

「昨夜は付近の農場で水魔の暴動が発生しました。あなたが無事でよかったです」

巡回兵は、まだ家の中で大掃除をしているロジャーを少し驚いた様子で見ながら、自己紹介した:

「私は李維と申します。この地域を担当しています。東に2キロの奔流農場に住んでいますので、何かありましたらそちらまでお越しください」

ロジャーは軽く頷いた:

「昨夜は、多くの農場が水魔の襲撃を受けたのですか?」

李維の表情は少し暗くなった:

「ほぼすべての農場です」

「特にタイガーファームは……ああ」

「ソールとヴァリアンナをご存知ですか?彼らはとても良い若者でした。先日ソールがヴァリアンナにプロポーズして成功したばかりで、結婚式にも私を招待してくれたのに……」

ここまで話すと、彼は少し黙り込んでから、続けた:

「私たちは、タイガーファームの穀物倉庫の近くで彼らの遺体を発見しました」

ロジャーは黙って机を拭き続けた。

手の中の雑巾が少し重く感じられた。

……