050 穢血の神

……

「穢血の神の儀式に気付いた」

「穢血の神の儀式：神秘的な儀式で、儀式に参加した生物は極めて強い繁殖欲と繁殖速度を得るが、代償として母体の生命力を失う」

「洞察力（+60）発動！」

「穢血の神の像を感知した」

……

冥々の中。

ロジャーの視線は、その大きな屋敷の幾重もの障壁を貫通し、神秘的な石像を見つめていた。

その石像は頭部だけで、瞳のない目を持ち、逆三角形の顔には血色の細かい模様が刻まれていた。

ロジャーはほんの少し見ただけで、こめかみに痛みを感じた。

「やはり、また邪教徒か」

果樹園にいた時から、彼はハンフランの背景を薄々感じ取っていた。

そして今、彼の推測は確信となった。

この穢血の神が何者なのかは分からないが、それがすべての異常現象の源であることは間違いない。

ハンフランもおそらく駒の一つに過ぎないだろう。

翡翠の幼龍郷が警戒するのも無理はない。

しかしロジャーは諦める気はなかった。

ミストラは邪教徒が跋扈する地だ。

出会うたびに逃げていたら、初心者村で一生を終えることになりかねない。

「もう少し様子を見よう」

中庭の人々が去った隙に。

ロジャーは身を翻して中に入った。

数回の跳躍で闇の中に消えていった。

……

その後数日間。

ロジャーは沼地の流民の村で情報収集を続けた。

準備は戦いの要。

ロジャーにとって、万全の準備が整ってこそ、行動を起こす時だった。

村の状況は非常に悪化していた。

ハンフランは火のオレンジの配布を加速させた。

毎日のように首の肉瘤で「ヘッドショット」する者が出て、その頻度も数も増える一方だった。

濃厚な魔力の匂いに加えて、村には死の気配が漂い始めていた。

そして毎晩。

ハンフランは彼の大きな屋敷で「穢血の神の儀式」を執り行っていた。

わずか数日で。

ほぼすべての女性が妊娠から老化までの恐ろしい過程を経験した。

彼女たちの子供たちも、魔物のような速さで成長していった。

生まれたばかりの赤子が、数日で十代の姿になり、基本的な戦闘能力を身につけた。

これらの子供たちは普通の沼地の流民よりも魔物に近かった。

彼らは痩せこけ、四肢は異常に長かった。

二足歩行よりも、這いずり回ることを好んだ。

言葉を話さず、表情もなく、母親との触れ合いも拒んだ。

彼らはハンフラン一人にのみ従った。

ハンフランは彼らに大量の火のオレンジを与え、これらの子供たちは明らかに魔力の消化能力が優れていた。

多くが強力な擬似魔法の能力を獲得した。

ヘッドショットで死んだのはほんのわずかだった。

日々が過ぎていく。

ハンフランの姿を見かける機会は減っていった。

彼は自らを大きな屋敷に閉じ込め、終日外に出なかった。

ロジャーは、ハンフランが竜牙村を攻撃するまでの時間が残り少ないことを知っていた。

「行動を起こす時が来た」

……

ロジャーはシンディを見つけ、この数日間で見聞きしたことを話した。

「私たちも穢血の神が何者なのか分かりません」

「ミストラには名の通った邪神様が多すぎますから……」

シンディは瞑想するように言った：

「もしあなたの見たことが真実なら、ハンフランはその邪神様の代弁者なのでしょう」

「ん……面倒に巻き込まれるのを恐れているの？」

「もしそれが心配なら、気にする必要はありませんよ。滅世の禁呪の存在が大半の邪神様の視線を遮っているので、彼らが実際に手を伸ばすのは難しいんです。ハンフランのような存在が、邪神様たちが見つけられる最強の代弁者なのです」

ロジャーは平然と頷いた。

「ハンフランを殺した後、その穢血の神があなたに報復することはないと保証できます」

シンディは厳かに約束した。

ロジャーは少し考えて：

「今夜ハンフランを殺しに行くつもりです」

「ですが二つのことで、ミューズ様の助けが必要です」

「一つ目。翡翠龍神の祝福を、前もって頂きたい」

「二つ目。彼女に直接出てきていただきたい。実際に手を下す必要はなく、一周飛んでいただくだけで結構です」

シンディは躊躇の表情を見せ、しばらくしてから不確かそうに頷いて言った：

「分かりました」

「あなたの意向を伝えておきます」

……

夜になって。

ロジャーは葦の茂みの端を飄々と歩いていた。

彼の身には「翡翠龍神の祝福」が加護されていた。

……

「翡翠龍神の祝福：あなたの知覚、知力、力がそれぞれ1ポイント上昇する」

……

ランダムな能力上昇だったため、この結果はロジャーにとって平凡なものだった。

六大基本能力の中で。

彼が最も必要としているのは敏捷性と知覚で、力と體力が次点、知力と魅力は最も不要だった。

敏捷性と知覚は言うまでもない。力と體力も身体の基本的な素質を決定する。

知力はエレメントとの親和性と魔法領域の習得潜在力を表す。

ロジャーのような魔法耐性の持ち主は当然エレメントとは相性が悪い。

魅力に関しては……言うまでもない！

「力と知覚が1ポイントずつ追加されたようなものか、まあまあだな」

葦の茂みの小道に沿って沼地の流民の村に潜入し、ロジャーは予定の場所へと向かい始めた。

道中、何人もの沼地の流民がヘッドショットを起こすのを目にした。

次々と、まるで花火大会のように。

彼の心は少し重くなった。

「そろそろか？」

そう考えていた時。

空から突然響き渡る龍の咆哮が！

……

「龍だ！」

「襲撃だ！」

「あ……」

村は突然騒然となった。

まだ理性が残っている流民たちは、恐怖に震えながらその海青色の姿を見上げていた。

「何をぼんやりしている！」

ハンフランが大きな屋敷から飛び出してきて、熟練した手つきでベルトを締めながら叫んだ：

「弩車を動かせ！」

「擬似魔導師団、集合！」

ハンフランの出現とともに、村の秩序は一時的に保たれた。

流民たちは混沌とした中で動き始めた。

ゴォッ！ゴォッ！ゴォッ！

空の巨竜は狂ったように翼を羽ばたかせた。

強風が次々と襲い掛かり、多くの低い家屋が吹き飛ばされた。

「急げ急げ！」

ハンフランは大声で指示を出し続けた。

突然、一人の護衛が走ってきた：

「ハンフラン様！」

「果樹園が燃えています！」

ハンフランは一瞬固まった：「奴らの目的は果樹園か？」

「お前、何人か連れて消火に行け！」

その護衛はすぐに一団を率いて走り去った。

しばらくして。

また別の者が報告に来た：

「ハンフラン様！」

「弩車の倉庫が燃えています！」

今度こそ、ハンフランは本当に座っていられなくなった！

彼は急いで消火に向かおうとした。

しかし数歩も進まないうちに、突然足を止めた！

「おかしい！」

ハンフランは歪んだ表情で部下を振り払い、大股で引き返した。

すぐに大きな屋敷の外に戻った。

混亂の広場で。

誰も気付いていないようだったが、一つの影が屋敷の脇門からこっそりと出てきていた。

その人影は身を屈め、麻布で包まれた何かを抱えていた。

「止まれ！」

ハンフランは激怒した。

この怒号に驚いた人影は、包みを抱えたまま一目散に逃げ出した！

ハンフランは考える暇もなく、刀を掴んで追いかけた。

その人影は非常に速く、数回の跳躍で村を出た。

しかしハンフランも負けていなかった。

むしろ二人の距離は少しずつ縮まっていた。

二人は前後して。

瞬く間に二、三里を走り抜け、より複雑な沼地に入った。

耳元で風の音が強まる。

ハンフランの頭に突然閃きが走った。

「罠か！」

その瞬間。

前を行く人影の抱えていたものが落ちるのが見えた。

ポチャンと沼地に落ちた。

なんと巨大な砂芋だった！

ドン！

この異音とともに、激怒したハンフランは突然足を踏み外した。

目の前の景色が回転し始めた！

「罠だ」

この言葉が頭に浮かんだ瞬間。

彼は心臓を貫くような痛みを感じた！

下を見ると。

その深い穴の底には、前腕ほどの長さの竹の杭が無数に埋められていた！

「ああっ！」

苦痛の叫び声が深い穴の底から響いた。

まるで最も凶暴な獸性の力が、最も狡猾なハンターの罠にかかったかのようだった。

深い穴の上方に。

闇の力に包まれた顔がゆっくりと現れた。

夜が更けていた。

……

（注1：前文に誤りがありました。洞察+6と書かれていましたが、実際は+60です。修正済み。）