111 最後の避難所_2

「魔力豊度については……手がかりが不足しているため、無駄な推論は避けよう」

その時。

ロジャーの思考は無限に広がっていった。

「もしそうだとすれば、この星球を離れるのはさらに難しくなるな」

「初心者の村を出たと思ったら、実は牢獄にいたってことか。これからは脱獄の準備だな」

「まあ、なんだか虚しいな……」

そう考えながら、彼は思わず頭を掻きながら、目に一瞬興奮の色が浮かんだ。

しかし、これらはすべてロジャーの分析と推測に過ぎない。

真相がどうなのか、さらなる手がかりが必要だ。

そして手がかりは南方にある!

今や。

南方の門は彼に向かって開かれた。

アランが境界守護者となり、セラ大橋は通常通り開放される。

寶石都市はもう目の前だ。

「それでは」

アランは真剣な表情で語尾を引き延ばした:

「試練を用意しようか?」

「冒險者よ?」

ロジャーは素早く首を振って拒否の意を示した。

彼は今、虚弱な勇者に過ぎない。

あまり無理はできない。

「半月後にしよう」

アランと時間を約束し。

ロジャーは上機嫌で森羅農場に戻った。

南方への準備を始めることにした。

……

二日後。

主屋の隣にある倉庫で。

ロジャーは慎重に1滴の血を小さな棺に滴らせた。

棺は漆黒で、古めかしい形をしており、およそ人の半分ほどの大きさだった。

この物は不吉な見た目をしている。

しかし、これは威靈頓が残した二つの超凡アイテムの一つなのだ!

……

「最後の避難所(収納アイテム/超凡アイテム)」

「ランク:SS」

「モード1:避難モード

避難モードでは、200*200*80(メートル)の避難空間を獲得し、この空間は強力な防御能力を持ち、240時間にわたって超凡隊の継続的な攻撃に耐えることができる。

年に一回のみ使用可能」

「モード2:通常モード

通常モードでは、追加の収納空間を獲得し、メインルーム一つ、武器庫一つ、倉庫二つが含まれる」

「開放条件:クン氏の血呪(169日)」

……

今日はロジャーが血を滴らせてから169日目だった。

奇妙な振動の後。

この棺はついにロジャーのものとなった。

この物は見た目は地味だが、確かにSSランクの超凡アイテムの評價に値する。

ほぼ無敵の避難モードはさておき。

通常モードだけでも人々の垂涎の的となるに十分だ。

他の収納アイテムとは異なり。

この棺は人が住めるのだ!

避難所のメインルームは10*8*6(メートル)の空間で、所有者が住めるだけでなく、客を招いて見学させることもできる。

ここをきちんと装飾すれば、寝室としてだけでなく、さらに多くの機能エリアを開発することもできる。

両側の倉庫は純粋な収納空間だ。

ロジャーは部屋の中から倉庫のものを直接取り出せるが、人は中に入ることはできない。

各倉庫には24個のスロットがあり、合計48個。

そして各スロットの収納空間はクローゼットほどの大きさだ。

これは、ロジャーがより多くのものを持ち運べることを意味する。

特筆すべきは独立した「武器庫」だ。

ロジャーが調べてみると。

この武器庫はクイック装備スロットのようなもので、思考一つで中のものが直接手の中に現れる。

ただし、このプロセスには2秒ほどの遅延があり、隠剣術には及ばないが、それでも十分実用的だ。

現在、武器庫には8つのスロットがあり、ロジャーの好みの物を大量に収納できる:煙玉、臭い玉、閃光瓶、元素瓶、こぶ弾、失明粉……など。

避難所を手に入れたことで。

るつぼは解放され、安心して錬金の道具として使えるようになった。

唯一の欠点は。

この物を立てるとるつぼよりもさらに大きくなることだ。

ロジャーは、これからは亀の甲羅の代わりに棺を背負って外出することを考えると。

なんとなく格が下がった気がした。

……

威靈頓が与えたもう一つの超凡裝備は「賢者の石」だ。

その名の通り。

一定の金額を消費すれば、この石はエンチャントされていない装備に一度のエンチャントを施すことができる。

お金さえ十分あれば、エンチャントは無制限だ。

ただし、エンチャントの効果はランダムだ。

ロジャーは興奮して赤月刃で試してみた。

そしてこの試みにすっかりはまってしまった。

……

「賢者の石で赤月刃(普通)にエンチャントを行った」

「エンチャントに成功!赤月刃の銳利+1」

「100銅令を消費して二回目のエンチャントを行いますか?」

……

ロジャーは躊躇なく試した。

……

「賢者の石で赤月刃(銳利+1)にエンチャントを行った」

「エンチャントに成功!赤月刃の耐久性+1」

「500銅令を消費して三回目のエンチャントを行いますか?」

……

ロジャーは少し迷った後、続行を選んだ。

……

「賢者の石で赤月刃にエンチャントを行った」

「残念ながら、エンチャントに失敗しました。赤月刃は破損しました」

「少額の銅令で他のアイテムにエンチャントを行いますか?」

……

ガチャンという音。

それは赤月刃が砕ける音だけではない。

ロジャーの心が砕ける音でもあった。

彼はようやく理解した、これは賢者の石どころか、まさにケリーの紙幣シュレッダーだ!

「賢者の石」の初回エンチャントは50銅令だけで済む。

しかし、その後の費用は倍々で増加する!

重要なのは、失敗率も同様に上昇することだ。

ロジャーの心の奥底で悪魔が囁いた:

強化しろ、強化しろ、十分なお金を使えば、必ず「永久に壊れない」赤月刃が作れるはずだ。

幸い、彼は自制心を保った。

最終的に、ロジャーは大半のお金を使って、すべての赤月刃といくつかの普通のアイテムに一回ずつエンチャントを施した。

これで。

彼は106本の異なる屬性を持つ赤月刃を手に入れた。

実は126本あるはずだった。

……

超凡アイテムの他に。

威靈頓はロジャーに大量の金銭、材料、巻物、書物を残した。

この財力があれば、当面は支出の心配はない。

残りの装備の中から。

彼は使えそうなものを選んで装備した:

防禦力+18の「紫鱗の内甲」で破損したミスリルの心鎧を置き換えた。

狼の群れを召喚できるアームガード「野性の呼び声」を左手首に着けた。

そして「行商人のブーツ」は、移動速度が大幅に上昇し、さらに一日五回の「逃走術」が付いている。

残りは一時的に倉庫に保管するしかない。

……

一週間後。

ロジャーは「最後の避難所」を背負い、セラ大橋を歩いていた。

初秋の風が彼の頬を撫で、とても爽やかだった。

彼の後ろには。

壮大な猛者たちの部隊が続いていた。

ガーゴイルは彼の右肩に止まり、媚びるような声を出していた。

しばらくすると。

彼らは橋の向こう岸に到着した。

遠方の景色が一望できた。

ロジャーは静かに第六感を起動した。

大量の映像が彼の目と脳裏に流れ込んだ。

……

その地平線の果ての平原に。

一つの高くそびえる山が空中に浮かんでいた。

山の麓の空中には。

六つの浮島が異なる高さの軌道上で。

衛星のように秩序正しく周回していた。

浮島からは滝が落ちていた。

陽光の照射を受け、それらの滝は最も輝かしい寶石のように、きらきらと光を放っていた。

浮島と山の下には。

目を覆うばかりの廃墟。

点在する農場。

不明瞭な灰色の霧。

人気のない墓場。

ロジャーは目を閉じ、耳元でアランの説明が響いた:

あの手の届かない浮島の上で。

滅世後の最初の秩序を築いた者たちの子孫たちが、必死に彼らの権力と威厳を維持しようとしている。

様々な表立った争いと陰謀が絶えることはない。

そして浮島の下方では。

大量の生命と魔物の領域がここに集まっている。

彼らもまた争っている。

ただし争いの主題は生存と繁殖に変わっている。

これが寶石都市だ。

人によって異なる定義を持つだろう。

しかしロジャーにとって。

彼は未來の兄弟姉妹たちが今どう暮らしているのかが気がかりだった。

繁殖はうまくいっているのか?

種の数が少なすぎないか?

「私が来たときには絶滅危惧種になっていたら困るな!」

そう考えながら。

突然西南方向に向かって疾走し始めた。

先ほど「完全な第六感」を起動した瞬間。

前方で誰かが魔物の領域にダメージを受けているのを知覺したのだ!

案の定。

しばらくすると、道端に一軒だけ立つ白い家が見えてきた。

その時。

巨大な樹妖が家全体を絡め取っていた。

家の中からかすかに女性の啜り泣く声が聞こえてきた。

「我が隱密俠たる者、今こそ義を行う時!」

ロジャーは素早く樹妖に罪の印を付けた。

そして部下たちを差し向けた。

しばらくして。

……

「樹妖を1体倒した」

「恥骨両側の毛の硬度が微かに上昇した」

……

「くそっ!」

ロジャーは激怒した。

……