第50章 東河郡が沸き立った（追読希望）

郡城の外の戦場。

許炎は気血を沸き立たせ、降龍掌を繰り出すたびに、より自在になっていき、掌力の強弱のコントロールも、ますます純粋になっていった。

龍形掌力を放つと、巨龍の攻撃も、より柔軟になっていった。

圧倒的な威力の中にも、柔の特性が宿り始めていた。

この戦いを通じて、許炎は降龍掌についてより深い理解を得た。

彼には予感があった。そう遠くない内に、自分は降龍掌を新たな境地へと悟ることができるだろうと。

轟！

赤い巨龍が四方を薙ぎ払い、許炎も一歩一歩前進していった。

バン！バン！

最後の一列の神威軍の兵士たちが吹き飛ばされた後、許炎は蔣平山の前に立っていた。

体を剛気が取り巻き、赤い巨龍が彼の周りを巡っていた。まるで御龍の神人のようだった。

蔣平山の体は震え、その下の軍馬は後ずさり、震えながら、今にも地面に伏せそうだった。

目の前の少年を見つめ、彼は我を忘れていた。

物語の中でしか語られないような強大な武道が、本当にこの世に存在するのか？

自分の娘が婚約を破棄した理由の一つを思い出す。許炎は頭が良くないと！

今この瞬間、それは自分の顔を平手打ちされたようだった。

頭が良くなかったのは、自分の方だった！

このような威厳に満ちた少年は、本来なら自分の婿となるはずだった。今や手の届かない存在となってしまった。

心は苦い思いに満ちていた。

「神威軍も、たいしたことはないな。まだ本気も出していないのに」

許炎は淡々と言った。

蔣平山は倒れた兵士たちを見渡した。最前列で突撃した兵士たちは重傷を負い、死亡者も出ていたが、後方の兵士たちの怪我は深刻ではなかった。

ただ一時的に戦闘能力を失っているだけだった。

許炎は手加減していたのだ。

万の軍勢に囲まれながら、なお余力を残し、手加減までできるとは、どれほどの実力があれば、そこまでできるのだろうか。

「お前の勝ちだ。許家の勝利だ」

蔣平山は一息つき、複雑な表情で言った。

「父上が会いたがっている」

許炎が言った。

蔣平山は一瞬驚いたが、何かを悟ったように頷いた。「戦場の後始末を済ませたら、必ず許府に伺わせていただく」

その時、郡城から大勢の人々が押し寄せてきた。