第49章 降龍の境地の威力、1人で1万の軍を薙ぎ払う

許炎は破壊された店舗を見て、心が痛んだ。その中には許家の店舗が数多くあったのだ！

「衝動的だった！街中で戦うべきではなかった。うちの店舗がこんなにあるのに、一軒でも壊されたら大きな損失だ。

「罪のない人々を傷つけるのは、なおさら良くない。

「師匠が言っていた、武道は殺戮ではない。私に制御する力があるなら、無駄な犠牲を出すべきではない！」

許炎は考えれば考えるほど、先ほどの行動が衝動的だったと感じた。最初から城外で戦うべきだったのだ。

蔣平山を捕らえることについては、許炎にその考えはなかった。彼は実力を見せつけに来たのだ、斉皇の老いぼれに衝撃を与えるために。

たった一人で彼が国の柱石と見なす神威軍を打ち破る、この衝撃は十分だろう？

神威軍の後方から、震える声が聞こえてきた：「よし！城外で再戦だ！」

蔣平山の声は震えていた。彼には信じられなかった。これはなんという恐ろしい実力か、たった一人で神威軍の突撃を打ち破るとは！

そして、この男は元々彼の婿になれる機会があった者だ！

この時、彼の脳裏にあの日の光景が浮かんだ。許炎の力強い言葉が：「……いつか必ず後悔させてやる、私なんぞ高嶺の花だと！」

今や、自分の娘にとって、本当に手の届かない存在になってしまったようだ！

しかし蔣平山は信じなかった。許炎一人で神威軍に対抗できるとは！

街中の通りでは、神威軍は十分に力を発揮できない。城外に出れば、話は違ってくる。

あれこそが神威軍の、真の戦場だ。

今回は天母教を完全に壊滅させ、ついでに大皇子の威信を確立するため、斉皇は一万の神威軍を彼の指揮下に置いたのだ！

一万の神威軍だぞ、たかが一人の、血肉の身で対抗できるものか？

「退け、城外に集合せよ！」

蔣平山は震える心を落ち着かせ、命令を下した。

神威軍は撤退を始めた。非人の力を持つ許炎という相手に直面しても、神威軍の兵士たちは少しも怯むことはなかった。

神威軍が郡城から退出するにつれ、自宅待機していた民衆も次々と家から出てきて、互いに情報を伝え合い、皆驚きの表情を浮かべていた。

長者の家の馬鹿息子が、たった一人で神威軍に挑戦する？

さらに驚いているのは、郡城内の有力者たちだった。許君河の息子が、こんなにも強大無比な実力を修行で身につけたとは信じがたかった。