李玄は街を一巡りして、雲山縣に多くの金持ちの子息たちが訪れていることに気づいた。彼らは皆、大山で高人を探すために、一時的に縣城で休んでいたのだ。
そして、あの白髪の男のような詐欺師が、一人だけではなかったのだ!
さらに驚くべきことに、騙される馬鹿者までいるのだ!
「天母教の連中が、詐欺まで副業にしているとはな?」
李玄は呆れ果てた。白髪の男も、他の詐欺師たちも、なんと全員が天母教の高手の成りすましだったのだ。
「石兄、もう帰るのか?」
「ああ、譚兄、これにて別れだ」
「……石兄、武道の秘伝書を手に入れたのか?」
「どうしてそれを?」
「私も一冊手に入れたんだが、どうも怪しい代物でな……」
金持ちの子息たちは呆然とした。武道の秘伝書が路傍の石ころのように安っぽくなったというのか?
偽物に違いない!
取り出して比べてみると、なんと江湖で流通している武術の秘伝書にも及ばないものだった。
一行は騒々しく縣衙へ向かい、雲山知事に詐欺師の逮捕を要求した。
李玄は見なくても分かっていた。これらの金持ちの子息たちは、縣衙に行けば、また雲山知事に一杯食わされることになるだろう。
許炎が神威を示して以来、斉国では武道の高人を探す熱が高まっていた。それは権力者や貴人の子息だけでなく、江湖の高手たちも武道の高人を探し求めていた。
誰もが奇遇を得ることを期待していたのだ。
李玄は無尽の山脈を思い浮かべた。無尽の山脈を越えれば、この世界の真の姿が分かるのだろうか?
もちろん、これは推測に過ぎず、本当にそうなのかは分からない。
「もう少し待とう。許炎が先天に入り、孟衝が武道入門を果たせば、武道の法も適度に広めることができるだろう」
李玄は心中で考えを巡らせた。
武道修練法を広める前に、その度合いを慎重に見極める必要がある。全ての状況を掌握し、いかなる制御不能なリスクも許してはならない。
許炎は既に親しい者たちに武道を伝えており、数ヶ月もすれば、武道の資質がなく、入門できない者がいるかどうかが分かるだろう。
無尽の山脈の中で、百人を超える一団が密林を抜けて、さらなる探索を続けていた。
「この世に高人がいるとすれば、必ずや無尽の山脈であろう」
兵部尚書の息子が確信に満ちた様子で言った。
「その通りだ!」
禮部尚書の息子も同意の頷きを見せた。