第6章 開戦（お気に入り登録お願いします）

上緑の森との戦争は、突然訪れた。

緑榕新生の月、アーロンが自分の砲灰部隊を訓練していると、父の配下の騎士であるターナー・ショーリエンが馬に乗ってやってきて、大声で叫んだ。「デイビス家が攻撃を開始しました。領主様がすぐに黒鴉の砂丘へ向かうよう命じています！」

「承知しました！」

アーロンは拳で胸を叩き、まだ戸惑っている部下たちを見て叫んだ。「何をぼんやりしている？すぐに装備を整えろ！戦争だ！」

この言葉を聞いて、全ての砲灰兵の表情が曇った。

しかし、これまでの訓練と服従のおかげで、誰の命令に従うべきかを理解していた。サンチェスやグリーンなどの小隊長たちの督促もあり、すぐに落ち着きを取り戻した。

「閣下！」

この時、八本指のがアーロンの側に来た。どこからか見つけてきた古びた鉄兜を被っており、それ以外の防具は何も身につけていなかった。顎髭に覆われた顔には苦い表情が浮かんでいた。「私たち...勝てるでしょうか？」

「勝たねばならない！」

アーロンは重々しく答えた。ソトス家の一員として、敗北は想像を絶する結果をもたらすだろう。

そう考えると、彼は自分のゴールデンフィンガーが役立たずであることを更に呪わずにはいられなかった。

この期間、毎日の夢の中で、エネルギー、つまり神秘ユニットを増やし、夢の中の意識体の力を強化してきた。

少なくとも、より速く動け、より多くを感知できるようになった。

しかし...現実世界のアーロンは、精神的な充実感すら感じられなかった...

やはり、夢の中の力をこの世界に持ち込むのは、非常に困難なようだ。

胸の内の思いを押し殺し、アーロンは自分の部隊を率いて黒鴉の砂丘へと向かった。

この砂丘は上緑の森と下緑の森の境界に位置し、周囲は価値のない砂丘の荒地で、戦場として使っても惜しくない場所だった。

「しかし、この時期を選んだのは少し奇妙だな」

アーロンは道の両側に広がる農地を見ながら、密かに考えを巡らせた。

緑の森の民の時間計測方法はまだ非常に原始的で、植物の成長に従って大まかに一年を十数ヶ月に分けているだけだった。

なぜ十数ヶ月と言うのか...それは、この月の区分が曖昧だからだ。

アーロンの理解では、おそらく時間計測に問題があり、大きな誤差が生じ、閏年や閏月を設けても調整できないほどになってしまったため、各年の月数を固定せず、すべて自然の、特に【緑榕樹のおばあさま】の状態に従うことにしたのだろう。

ソトス領には一本の緑榕樹があり、「神木」として定められ、月の区分もその榕樹の状態によって決められていた。

もちろん、榕樹は常緑樹で落葉しないため、ソトス領の秋という概念は非常に曖昧だった...

そして今は、万物が生長する春季！

古代では、農作業の時期！

両領主の常備軍はわずか百人程度で、戦争には民兵の徴用が必要だった。このまま戦えば、生産に支障をきたし、来年には必ず飢饉が発生するだろう！

「デイビス家がそれほど愚かなはずはない。それとも...彼らは事前に大量の食糧を備蓄し、ソトス家を春季の戦争に巻き込んで播種を妨害し、来年まで持ちこたえれば、ソトス家は戦わずして崩壊すると考えているのか？」

「それなら、なぜ彼らが先に戦争を仕掛けてきたのかも説明がつく...」

アーロンはある考えが浮かび、心が引き締まった。デイビス家もまた完全な緑の森への渇望と謀略を持っていることを悟った。

...

黒鴉の砂丘。

この時すでに南北二つの部分に分かれ、軍営が設営されていた。

アーロンの計算では、今回のソトス領の出兵は約千八百、一方デイビス家は二千近くに達していた！

「これはもう野猪を奪い合う村同士の争いではなく、少なくとも郷同士の戦いだな！」

アーロンは上質な革鎧を身につけ、幾重もの陣営を通り抜けて大帳に入った。

セオドアとコリンは精巧な鎧を着け、数人の騎士を従えていた。彼が入ってくるのを見て、それぞれ微笑みを浮かべた。

「父上！」

アーロンは背筋を伸ばし、毅然とした表情で、拳で胸を叩いた。

「これがお前の初めての戦争だ。アルフレッド騎士について行け、彼がよく指導してくれるだろう」

セオドアはさすがに息子を死地に追いやることはせず、白髪まじりの髪をした、巨大な流星槌を持つ騎士を指さした。

「御命に従います」

アーロンは、この老騎士が戦場での豊富な経験を持っていることを知っていた。彼の傍らにいることは、セオドアの側近であるコリンの傍にいるほどではないにしても、比較的安全だと考えられた。

...

ウーウー！

寂しげな角笛の音の中、アーロンはアルフレッド騎士に従い、砂丘のやや高い場所へと向かった。

四千人近い兵が二つの異なる陣形を組み、砂丘を囲んで巨大な戦場を形成していた。濃緑と青の旗が、大地を二つの陣営に分けているかのようだった。

その中で、ソトス家の旗は濃緑を基調とし、その上に分岐した榕樹の紋章があった。

一方、デイビス家の家紋は、一つの縦目だった。

「覚えておけ、初めての戦場では慌てるな。お前の家の箴言を忘れるな」アルフレッドはアーロンを一瞥し、教え諭した。

「不動の意志！」

アーロンは家の箴言を口にし、デイビス家の箴言—「すべてを見通す」—を思い出した。

「よし、始まるぞ！」

アルフレッドは淡々と言った。

その時、アーロンは敵の陣形がゆっくりと動き始めるのを目にした。

最前線には、同じように襤褸を纏い、粗末な武器を持った農兵たちがいた。彼らは恐怖に満ちた表情を浮かべ、後方の正規兵と騎士に追い立てられながら、ソトス家に向かって攻撃を開始した！

「私の命令に従え、弓術士、放て！」

陣形の中段で、弓術士を指揮するマークが怒鳴り、片手を振り上げた。

矢の雨が降り注ぎ、多くの不運な者たちを射抜いた。彼らは地に倒れ、致命傷を負わなかった者たちは悲鳴を上げ続けた。

しかしそれも無駄だった！彼らの後ろにいた戦友たちは、巻き込まれながら彼らの上を踏みつけて進み、すぐに声は消えた。

ドドン！

両軍が突撃し、矢は数回しか放たれなかったが、その後二つの軍は洪水のように一つに合流した。

「突撃！」

アルフレッドは怒鳴りながら戦馬に跨り、全身の鎧と相まって移動する金属の要塞のようだった。

アーロンの位置するソトス家の右翼では、彼は命令を下した。「突撃陣形、前進！前進！」

八本指のらの小隊長たちは目に恐怖を宿しながらも、命令を見事に実行し、この数十人の小部隊を戦争の一部として機能させた。

ドドン！

アーロンはある距離を突進し、突然目の前が暗くなり、向こう側に青い色が浮かび上がった。

敵が現れた！

「殺せ！」

彼は手にした十字剣を振り回し、躊躇なく切り下ろした。

向かい側の民兵は元々農夫で、数日の訓練を受けても人を殺す勇気があり、目に悪意を宿していたが、装備が貧弱すぎた。草叉は十字剣によって真っ二つに切断され、上半身も斜めに切り裂かれ、腸や内臓が地面に散らばった。

「少し戦略を誤ったな」

アーロンは剣を引き、防御の姿勢を取り、四方八方からの敵を警戒しながら、眉をわずかに顰めた。「防具を持たないこれらの民兵相手なら、十字剣を使う必要はない。レイピアで十分だ。体力を温存しなければ...後で撤退するにしても追撃するにしても！」