「これは……繭で傷を治療する能力なのか?」
琳は様々な神秘に対する受容力が強く、すぐに状況を推測した。
彼女は一歩前に進み、その大きな繭を見つめ、顔に喜びの笑みを浮かべた。
「よかった、この人は無事だわ、主の神託はまだ完遂できる……」
彼女は繭の中に、何かの光源があるのを見た。それは人型の影を映し出し、かすかに女性だと分かった。まるで胎児のように、両手で膝を抱え込んでいた。
しかし、次第に強くなる心臓の鼓動とともに、黒い人影の背後から無数の影が蠢き、急速に広がり……奇形の翼へと変化していった。
その人影も奇妙に変形し、口器が長くなり、体が異形化し、まるで昆虫へと進化しているかのようだった……
「まずい……これは……汚染?」
琳は表情を引き締めた。相手が重傷により理性を保てなくなり、魔物へと変貌しつつあることを悟った。
実際、オリヴィアの変化は、以前靈性を使い果たし、儀式を行ったことと関係があった。
このまま続けば、繭から出てくるのは、もはや彼女ではないだろう。
「なるほど、主は全てを見通していた、これこそが魂を救う真意なのね?」
琳は悟ったように言った:「彼女は自分の道の果てにある恐ろしい存在に引き寄せられ、深淵に溺れている。主の光輝によってのみ、救済を得ることができるのだわ……」
彼女は自分がすべきことを理解した。
琳はすぐに儀式の準備を始め、虚妄の霊に祈りを捧げた:
「未知をさまよう虚妄の霊よ、絶対中立の存在よ、沈黙の観測者よ……」
「どうか恩寵を下し、目の前のこの迷える魂をお救いください!」
……
「これは私の計画ではなく、ただ少し遅れてしまっただけで、もう少しで間に合わなかったと言えばいいのかな?」
アーロン・ソトスは心の中で呟きながら、この儀式を受け入れた。
彼は前方の巨大な繭を見つめ、目に驚きを宿しながらも、夢から生まれた神秘エネルギーを操り、繭の中へと注ぎ込んだ。
「主に感謝を!」
琳はその変化を感じ取り、光る繭の中を見つめた。恐ろしい黒い影は徐々に消え去り、再び人型へと戻っていった。
ビリッ!