「この拠点の邪教徒の実力は、確かに強くない……彼女たちに注意を促す必要はない。自由に計画を立てさせて、実戦経験を積ませよう」
アーロンは黒日の拠点内を這いまわりながら、この拠点内の黒日教徒の実力を把握し、すぐにその場で見物することを決めた。
……
翌日。
ディアート、アオギリ大通り。
錆びた看板が横たわり、そよ風が吹き、古い新聞紙が舞い上がる。
'赤髪'のレムは退屈そうに探査任務を遂行していたが、突然目を輝かせた。
彼は十四、五歳ほどの少女が、食料の袋を抱えて、とある建物に入っていくのを目撃した。
「あの人は...琳か?成長して背も伸びたけど、あの顔は間違いない」
レムは教団の指名手配犯に本当に出くわすとは思わず、興奮を隠せない表情を浮かべた。
「もし彼女を【黒日】様に捧げることができれば、主は私を'燃える子'に、あるいは'闇追い'にまで昇進させてくれるかもしれない!」
彼は唇を舐め、抑えきれないグリードを顔に浮かべた。
しかしすぐに、レムは自分に言い聞かせた:「いけない!この女は不気味だ。月の眷属で、かつて血月の惨事を引き起こし、彼女の手にかかった不焚者も少なくない...急いでマース様に報告しなければ!」
レムは身を低くし、闇の中に潜んだ。
彼は気付かなかったが、角にある古い蜘蛛の巣が、その時軽く揺れていた。
目に見えない振動が糸に沿って伝わり、建物の中まで届いた。
オリヴィアは閉じていた目を開いた:「あの人は去った。見たところ、かなり慎重な様子...これから、あの邪教徒たちが総出で来るでしょう。私たちが仕掛けた罠が効果を発揮することを願います...」
「残念ね...すぐに攻めてきて、私に楽しみを与えてくれると思ったのに」琳は自分の手を惜しむように見つめながら言った。
「楽しみは終わり、これからは大きな戦いよ」
オリヴィアの表情は今までにないほど固く決意に満ちていた。
以前の弱々しく、流されるだけの彼女とは違い、今の彼女には信念があった。今回は、信念のための戦いなのだ!
「彼らの戦力は、だいたい把握できているわ。燃える子が一人、不焚者が三、四人...彼らは絶対に、私にあなたがいることを想像できないでしょう」